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作戦3にしおりをはさみました!
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作戦3
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どんよりとした気分で学校へ行ったからか、ときより聞こえてくる悪口は全く気になりませんでした。
「黒ちん?顔色悪いけどだいじょーぶ?」
「大丈夫ですよ……」
「うん、だいじょーぶじゃなさそうだね。」
教室についてからも下を向いたままその雰囲気を纏っている僕に気まずくなったのか、紫原君はトイレへと消えていきました。
そしてその途端、僕はクラスメートに囲まれたのです。
──はは……これがナメられるということですね…
僕がそんなこと考えているなど欠片も思っていないクラスメートの人達は、口々に自分の考えを言い始めました。
「お前マジ最低だな!紫原騙して守ってもらうとかさぁ!」
「男の癖に卑怯なんじゃねぇの!?」
「ホントマジサイテー!死んじゃえばァ?」
「紫原君にも謝りなさいよ!」
──耳がキンキンするんですけど……
「大体よォ!!!」
耳を塞ごうと両手をあげようとしたとき、一際大きな声がして、教室中が一気にシンとしました。
ようやく顔をあげてみると、数日前紫原君に殴られていた男子が堂々と座っていました。
もっとも、本人は堂々としていますが、湿布や包帯でグルグルにされた顔で堂々されても全くかっこよくありませんでした。
「騙されていようが何だろうがよぉ、俺を殴ったことに変わりはねぇだろーが。その時点で紫原は敵なんだよ。紫原庇って自分が殴られるとかたまったもんじゃねぇんだよ」
──庇ってもいませんでしたけどね……
しかし、その意見に賛同する人は多く、すぐにクラスメートのほとんどが紫原君の敵となりました。
「黒子の味方って事は、惟葉ちゃんをいじめるかもしれないってこと?」
「ええ?それはサイテー!」
「庇う意味ねぇんじゃね?」
「マジ失望だわー」
そしてそのまま話は本題と離れていき、何故かキセキの世代の話になりました。
止めるだけの気力はもう僕にはありませんでした。
「キセキの奴らが黒子を見張っとけば……」
「いや、惟葉ちゃんを守ってれば……」
「大体青峰はセンスがあるからって乱暴すぎ……」
「緑間は……」
「赤司は……」
「紫原は……」
──これ、もう僕が輪の中心にいる意味無いんじゃないじゃないですかね……帰りたい……
と、その時、僕の耳にある言葉が入ってきました。
『黄瀬とかマジウゼェよな。ちょっとモテるからって気取りやがってよォ。本当は中身空っぽのナルシストなんじゃねぇの?』
その言葉は、その言葉だけが、意味のあるものとなって僕の中に入ってきました。
「……った」
最初の一言は、あまりにも小さ過ぎて誰も聞き取りませんでした。話の分からない奴らはどんどんと自分の妄想を膨らませ、キセキのみんなを、黄瀬君を侮辱しました。
バンッ!!!
怒りのあまり、拳で机を思い切り叩いてしまった。ものすごい音と共に机にヒビが入り、僕の手にも血が滲む。騒がしかったクラスはいつの間に静まり返っていて、みんな僕を見ていた。
「今、誰が黄瀬君のこと言った?」
いつもの癖の敬語も忘れ、淡々と言葉を紡いだ。心の中の怒りは、爆発寸前だった。
「お、俺だけど?」
ここで言わなかったら負けとでも思っているのか、それともただ僕をナメているだけなのか、クラスでそう目立ってもいない男子が名乗りました。
「な、なんだよ。他のキセキの悪口はよくて、黄瀬の悪口はダメってか?ハッ。キモッ。」
それにつられるように、もう二人の男子も。
「は、ハハハ。それなー。」
「マジそれな。黄瀬もお前もキモすぎ。」
それが、限界でした。
まず、最初に悪口を言った奴のところへ。顎を拳で一発、次に腹。足でスペースが空いているところに突き飛ばして、跨りながらこれでもかというほど殴る。殴る。殴る。
「気取ってる?中身空っぽ?ナルシスト?お前にはそんな風に見えてるのか?ほら、答えろよ。」
あまりの豹変ぶりにほかの奴らはしばらく止まっていましたが、状況を理解した奴が「てめぇナニやってんだよ!」と止めに入りました。
そこで、残りの二人を思い出す。
僕を拘束しようとする奴を殴って止めてから、残りの二人を探す。すると、丁度よく二人とも一緒に固まっていた。
タン、と机を踏み台に、二人のところへと急接近する。そのまま足で二人を蹴り飛ばすと、面白いほどの強さで廊下側の壁に当たりました。一瞬息が出来なくなったのか、「かはっ」と唾を飛ばしていた。
片方は気絶したので、もう片方の方へと歩み寄り、髪の毛で頭を持ち上げる。
「君はさっき僕と黄瀬君のことをキモいとか言ってたよな?」
「あ、…ひぃ、すみませんすみませんすみません……」
「謝るくらいなら最初からするなよ…なっ!!」
掴んだ頭をそのまま壁にぶつける。グシ、と嫌な音がして、そいつの鼻から血が溢れた。
一回、二回、三回、四回。何度も壁にぶつけ続ける。相手がとっくに気絶していようが、関係ない。
後ろで集まったまま固まっているクラスメートの女子達の泣き声が聞こえてきて、少し冷静になった。
──忘れるところでしたね。あともう一人いること。
ポイ、と血だらけの男子を捨て、すぐに気絶してしまっていた男子へと近づきました。
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