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高尾sideにしおりをはさみました!
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高尾side
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ブブブ、と携帯がなる。
メールだったら俺のお気に入りの音楽が流れるはずだけど、これは確か誰かにオススメされたバンドの曲だから、これは電話。
放課後、マジバでバーガーを口に突っ込みながら、俺はすぐに携帯を開いた。
だってほら、テっちゃんからだったら大変じゃん?
もしかしたらhelpって電話かもしれないし。ね?
「ほーい。もひもひー?……ゴクッ。ふぅ。で、どちら様ー?」
『……ブッ!』
ハムスターのように高速でバーガーを噛んで飲み込んだあとそう言うと、電話越しに吹き出す音が聞こえた。そのあとも、笑いを堪えるような声が聞こえる。
これはテっちゃんじゃないな。
「もーしもしもしもしー?ダーレデースカー。」
紫原?違う。
キセキ?違う。てかそもそも番号教えてねぇし。
クラスメート?違う。こんな声の奴いない。
マジで誰だ?
そう思ってたら、ガチャガチャと声がしてから多分違う奴が出てきた。
『あー、もしもし?コイツ今話せねえみてーだから代わったけど、お前高尾だよな?』
あー、どっかで聞いたことある声。
誰だっけ?
「そーだけど……あ、あー。もしかして、花宮真?」
記憶を頼りにその名前を出した。なにせ、病院の時しか会ってねぇしな。名前は知ってたけど。
『そーに決まってんだろバァカ……ってお前とは一回しか会ってねえんだっけ?そりゃ覚えてねーか。』
相手が花宮ってことは、もう一人は今吉?
そう聞くと、どうやら当たりのようだ。
『ちょっと待ってろ……おい、テメーそろそろ落ち着けよ。電話掛けたのお前だろ?さっさと用件済ませろ。』
バシッと言う音と、今吉が蒸せる声。あー、花宮に叩かれたんだなぁと呆れながら笑う。
その後しばらく咳き込んだあと、やっと今吉が出てきた。
『ゲホッ……あ"、あー…高尾クン?すまんすまん、ええ具合でツボに入ってな。』
それは笑っていたことへの謝罪か?それとも咳き込んでた理由か?どっちなんだよ。
口には出さずにつっこんでおく。
「おー。んで?用件はなーに?」
俺はホントにどうでもいいように尋ねた。よーく考えれば、テっちゃん繋がりで知り合ったんだから、用件がテっちゃんに関係しないことなんてないのに。
『ホンマに偶然なんやけど、さっきたまたま目の前歩いとった奴が黒子クンの話しててな。なんでも、〝また〟黒子クンをレイプしようとしてるみたいなんよ。』
「ハァ!?それホントか!?」
驚きと怒りで思わず立ち上がった。椅子が大きな音をたてて倒れる。どうやら声も大きかったみたいで、客と店員全員の目がこちらに向いた。
やっべ。
でも、そんなことに構ってる暇はねえんだ。
急いでカバンを持ってゴミとトレイを片付ける。そのまま走るように店を出て、俺はテっちゃんの家に向かった。
「今吉、今の話ホントか!?ってか、〝また〟ってことは、前と同じ奴らってこと!?」
『せや。こないだ黒子クンが話してくれた奴らや。』
くそ。
とにかく早くテっちゃんのところに行かないと。
あの時みたいに後悔する前に。
「いつヤるとか、人数とか、そいつなんか言ってたか!?」
『ちょお待ってな……おお、言っとる言っとる。明日の朝誘拐するつもりみたいやで。』
明日、という言葉を聞いてひとまず安心する。
……ん?いや待て。
〝言っとる〟?
現在進行形??
「今吉、そいつ今どこにいんの?」
『ファーストフード店の中やで。』
「で、お前らは?」
『ファーストフード店の中やで。』
「尾行してんのかよ!!w」
思わず笑いが漏れる。
でも、そっか。
「ひとまず安心したよ、ありがとな。」
その後も情報を聞き続けて、登校してる時に誘拐しようとしてることと、人数は十数人ってことを知った。
てか、そいつももうちょい用心しろよ。
「じゃあ俺からテっちゃんと紫原に言っとくわ。お前らもまた今度会おうな。」
『そやな。また真のデレシーン話があるんや。楽しみにしててなグハッ!』
電話の向こうから、またゴスッという音が聞こえる。
『ったく、マジふざけんな。あぁ、高尾?そーゆーことだから、せいぜい気ぃつけろよ?じゃーな。』
あ、一方的に切られた。
携帯をしまいながら思わず笑う。
さて、テっちゃんの家に早く行こうっと。
笑ってる場合じゃないのに、やっぱり笑いが漏れた。
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