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第九章にしおりをはさみました!
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第九章
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「────じゃあ、また会ってくれますか?」
今日の営業もなんとか終わり、悠叶をお見送りする為にお店の外へ出た迅鵺。
悠叶は、迅鵺が言った“わざわざ店なんかで会う必要はない”という言葉が余程嬉しかったらしく、ほんのりと頬を赤らめ、少しの期待と照れているような表情だ。
そんな悠叶の様子に、迅鵺はチクリと胸を痛める。
「────はい、またアパートに行きます。」
この時、迅鵺の内心では色んな想いが複雑に交ざっていて、自分が自分でなくなっていくような感覚に戸惑っていた。
トイレの出来事では悠叶に胸をトキメかせ、触れられた所からは、悠叶の温もりと他の誰にも感じさせられた事のないような快感が広がっていって、気付いた時には悠叶が与える快感に身体が夢中になって溺れていたのだ。
周りが見えなくなっていた。
ただただ、悠叶が触れる度に怖いくらいに求めてしまった。
もしもあの時、響弥が来なかったら・・・きっと、迅鵺も悠叶に触れていただろう。
響弥が来た事で冷静になった迅鵺は、そんな自分が、とても浅ましい人間に思えてしまい“自分は違う”と否定したい気持ちになってしまったのだ。
以前、無理やり犯されたにも関わらず、未知の快楽に達せられた迅鵺の身体。知らず知らずに今でも燻っていたうねりが、悠叶に触れられる事で甦っていくような感覚に胸がザワついた。
“また、あんな風になるかもしれない”
苦痛と快楽は紙一重。
迅鵺は、自分が女のように乱れ狂わせられる姿を想像して、それを男としてのプライドがシャットアウトさせる。
男に抱かれる行為そのものを受け入れてしまう事に躊躇したのだ。
“俺は男なのに”
“何度も女を喜ばせてきた”
“俺が女にされちまうなんて・・・”
頭を抱えるような気持ちが交差する──・・
それでも、結して嫌では無かった。嫌では無かったのだ。
「────嫌じゃ無かったから、困ってんだよ・・怖ぇよ・・ちくしょう・・・」
笑顔で手を振る悠叶に、迅鵺は泣きたい気持ちを抑えて手を振り返す。
迅鵺は、酷く心が揺れていた───・・
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