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出会いの酒場にしおりをはさみました!
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出会いの酒場
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薄暗い酒場で目の前に出されたウイスキーを見つめた。夜の街ならではな、おしゃれなこの店の証明は薄黄色い小さな照明が数個、それだけ。カウンターや店の内装はすべて古臭い木で出来ていて、歪んだその曲線をそろりと指で撫でた。温もりが感じられてなんだか心が休まる。すこし酒が頭に回ってきたところで隣に座る1人の男に声をかけた。男は酔っていないようだったが、少しだけ目元が紅い。
「こんにちは」
「こんばんわ。…名前は?」
「ははは、唐突だね。…デニス・ニルセンだよ」
「デニス…君の家の水道はつまってないかい?」
「残念ながら」
両手のひらを返して肩を竦める。目の前の男はまだ子供のようなあどけない笑みをつくって笑った。歳はいくつなんだろうか。照明でキラキラ透けて輝く金髪が余計に幼く見せてるようだった。
「死体は好きかい?」
「好きだよ」
「死体をバラバラにしたことは?」
「あるよ。…仕事柄ね」
「仕事は何をしているんだい」
「まるで尋問だな、監察医だよ。死体のおかげで生活してるんだ、そりゃあ死体も好きさ。」
例えどんな返事をしても、男は笑ったままだった。店が慌ただしくなってきたので思わず席を立つ。いつの間にかグラスの中のウイスキーは飲み干していた。座ったまま自分を見上げてくる男の髪に触れる。さらりとした感触に目を細めながら、お誘いの言葉を口にする。
「うちに来るかい?」
「嗚呼、是非…僕は逃げないからね。」
「わかってるよ、殺さない」
「主よ、この出会いに感謝します」
「神なんて信じてるのかい?」
「職業柄ね」
「何をしてるんだ?」
「…神父だよ。」
君が神父なのかい。なんていう言葉は飲み込んだ。男だって神に仕えながら禁忌とされた同性への欲を抑えきれずにこんなところへ来た。さらにはたった数時間言葉を交わしただけの男の家に着いていくなんて。
「…ところで、名前は?」
「そうだなぁ。ジョン・ホーレットだよ。…これは冒涜に値するね」
「いいんじゃないかい、ホーレット。愛すべき13番目」
「詳しいね」
「君こそ」
くすりくすりと、二人で笑いながら指を絡め合った。
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