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ｰ2にしおりをはさみました!
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ｰ2
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「…いい加減うざったいんだけど」
教室に入る手前で唸るような声を向けられた。
「なんのこと？」
「とぼけないでよ。意図して菅野のこと狙ってるだろ」
「…あたしの前では彼のこと『かお』って呼ばないんだね？」
「……………」
ニコッと笑顔を見せれば眉間にものすごい皺を寄せた顔で睨まれた。
汐音には"あれ"以来、相当嫌われてる。あたしとしては、汐音とももっと親しくなりたいんだけど…まだまだ嫌われ役でいるしかなさそうだ。
「そんなに菅野クンが心配？」
「…別に、そういうわけじゃない」
「そう。じゃ、ただの嫉妬か」
「そんなのない」
「だったらなんでそんな不機嫌なの」
「不機嫌じゃない」
「菅野クンのこと、少しは信用して放っておいてあげたらいいのに」
「瀬良さんがちょっかい出さなければいいんでしょ」
「……………」
…負けず嫌いだな
あたしに指摘されてそれを鵜呑みにするのが嫌なのか、投げかけた言葉をすべて否定する。それとも、本当にそうではないと思ってるんだろうか？
どちらにせよ、会話が成り立たないじゃないか。
「……汐音も相当頑固だよね。一体どうしたいの？」
「…は？」
「だから、あたしも他の人も関係なく、汐音自身は菅野クンとどうしたいのって聞いてるの」
「…なんでそんなこと知りたがるんだよ」
「んー汐音ってさ、いろんなことがちょいちょい矛盾してるんだよね。
菅野クンにも感じてたことだけど、彼は自分の気持ちに鈍感なだけ。でも、汐音のはまたちょっと違う気がする」
無理して自分の感情を押し殺してる感じ？
もともとがそんなに器用な性格じゃないんだろうけど、どこか怯えてるような印象を受けた。だとしたら、一体なにが恐いと言うのだろう。
「……あんたこそ、一体なにが目的だよ」
横目でキッと睨まれる。
………目的、ねぇ…………
「汐音ともお友達になりたいなぁ〜って思ってるだけだよっ？☆」
「…それ、本気で思ってるんだったら殴るからね。気色悪い」
「女子に向かって気色悪いはどうなのよ…」
割と本音なんだけどなぁ
どれだけ言っても伝わらないんだろうな 悲しい
「瀬良さん、確かに最近は成績落ちてるみたいだけどやらないだけなんでしょ？ 本当は」
「……………」
「……馬鹿じゃないのはわかってるんだよ。
それに、勉強教えてもらいたいならいつも構ってもらってる諏訪に頼めばいい。菅野にお願いしたのはどうせただの口実だろ」
「……………」
「次はなにを企んでるのか知らないけど…そうやって近くをちょろちょろされるのって大嫌いなんだよ」
──それはつまり、汐音にとってあたしが『鬱陶しい存在』でしかないということ…
さすがのあたしもこれには少しカチンときた。
「……だから"近づくな"っての？
汐音、あんたちょっと勘違いしてんじゃない？」
…こんな一方的な押しつけがあるか
「汐音が個人的にあたしをどう思おうが勝手だけどね、菅野クンの気持ちは？ 思いは？ それは完全に無視なわけ？」
「…なんでそこに菅野が出てくる」
「『ちょろちょろするな』って、誰を対象に言ってるの？
…あたしが用があるのは菅野クンであって、汐音じゃない。違う？」
「……………」
客観的に見たら、あたしが普段会いに行って話しかけてるのは菅野クンだ。汐音が横にいようが関係ない。それを汐音が「煩わしい」と思うのなら、汐音が席を外せばいい。
だって──
「菅野クンはあんたにそんなこと頼んだの？」
いつだってどこか
彼の思いは置き去りなんだ
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