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ニアミス警報にしおりをはさみました!
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ニアミス警報
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なんてことがあった合宿明けの次の日。
「えっ、夏目先輩今日学校来てないんですか?」
「あーなんかそうっぽいよー。アレじゃね?
ほら…今日職員会議あるから昼で終わるじゃん、授業ー」
「サボり…ですか…」
「多分ねー。
…あ、ごめん暴君から電話かかった」
「え? ああ、どうぞ」
「ごめんねー。
???もしもし? うるっさいなあ、何!? 聞こえない!
ていうか今日はもう電話しないっつってたじゃん! 頭大丈夫!?」
「(……暴…君…?)」
っていう水無月と篠のやりとりとほぼ同時刻。
俺はというと、
「夏目、私今日…告白しようと思う」
????いわゆる恋の試練ってやつにぶち当たっていた。
正直なんでこんなことになったのかさっぱりだ。
朝起きたらもう10時過ぎてて、そういえば今日学校昼までだっけ、もういいや休もうって担任に電話して、
親は仕事行ってたし家に何も食べるものが無かったからコンビニ行って帰って来たら美香に拉致られた。
え、お前学校は?って聞いたらさっきのセリフ、「告白する」。
誰か翻訳してー。
「告白って…ええと、篠に?」
「他に誰がいるの」
「え、でもあいつ今彼女居るんじゃなかった?」
「昨日別れたらしいの。まつ毛が短いとかで」
「ざ…斬新な別れ方だな」
「そんなのはいいの!」
美香は一旦声を落とした。
「今日ね、千明の誕生日じゃない?
ひとりじゃ勇気出なくって…それで…協力して欲しいの。
プレゼント渡す時に気持ちを…あ、夏目はそばに居てくれればいいから」
「誕…そう、なんだ」
なるべく驚いた声にならないよう気をつけた。
今日が、誕生日。
全然…知らなかった上に、手放しで喜べる状態じゃない。
好きなやつに好きだった人が告白しようとしてるなんて。
それを間近で見なくちゃなんないなんて、しかも祝えって無茶すぎる。残念ながら俺の心は折れやすい方だっつの…!
篠を連れて来たりセッティングは手伝うけど、邪魔になると悪いから先に帰るってことにしよう、とそれっぽく理由をつけてはぐらかす。
美香は不満そうだったけど、「夏目が言うなら…」って納得した。
「えーと…じゃあ準備する?
なんか買う物があるなら付き合うけど」
「クラッカーとかケーキとか買いたいなって思ってるんだけど…」
「そっか。悪いけど30分待ってくれる?
着替えと飯済ませてくる」
「わかった。
…夏目、」
「ん?」
「…うまく、いくよね」
大丈夫、って答えて自分の家のドアをバタンと閉めた。
「大丈夫じゃ、ねえよ……」
またあの嫌な気分だ。
ぐるぐるとモヤモヤがせめぎ合って、誰かれ構わず八つ当たりしたくなる。
篠はなんて言うんだろう。
やっぱ付き合う…のかな。付き合うよな。
美香は誰が見たって可愛いし、まあ多少束縛な感じはあるけど…料理も上手いしスタイルだって悪くないし何より女子だし。
ちょっと前までは美香に想われてる篠を羨ましく思ってたはずなのに、
今は篠と付き合える美香を羨んでる。
本当に付き合う勇気もないくせに、くっつかなきゃいいなんて都合がいいよな。
なんかもう俺…消えたいなあ…。
約束の30分はすぐ経った。
サンドイッチと野菜ジュースを適当につまんで、ジャージだけジーパンに履き替えてエレベーターへ。
一階のエントランスでは美香がすでに待っていて、「いても立ってもいられなくって」とはにかんだ。
「まずケーキ予約して…それからグッズ買いに行きたいなって思ってるの」
「買うとこの目星ってついてんの?」
「バッチリ。予算はケーキ入れて一万円!」
「いっ一万!?」
「シャンパンタワーって買えると思う?」
「無理。無理だと思う」
恋する乙女全開で必死な彼女に背中を押されるまま、マンションを出て駅に向かった。
道中、サプライズにしたいから照明は消して出迎えるとかプレゼントは前欲しいって言ってたチョーカーにしたとか、
飾り付けは美香の家でどんな風にする(テーマカラーはファンキーピンク)とかで盛り上がって…うん、美香がね。美香は盛り上がってた。
俺も俺で憂鬱な手伝いだったしまだモヤモヤしてたしで注意力散漫になってて、
だから、
「(先輩…?)」
ちょうどこの様子を下校中の篠に見られてた、なんて、ちっとも気づかなかったんだ。
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