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青春、いつだってすれ違うにしおりをはさみました!
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青春、いつだってすれ違う
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学校を終えたリョウは携帯をいじりながら行きかう生徒たちの中に紛れ込んで歩いていた。
学生服の首元が苦しくてぐいっと引っ張って少しの間だけ呼吸を楽にする。
どうも今年の夏は暑くてかなわない。
毎年同じことを嘆いている気がするので、年々気温の上昇は順調に右斜め上を突っ走っていいるらしい。
どうしようもないよな、と沸騰しかけた頭を落ち着かせ木漏れ日が咲いている日陰を選んで下校していた。
裏門をくぐりぬけようかと思った瞬間、リョウの耳に激しい物音が届いた。
急いで携帯を折り畳み音が聞こえた方向に向かって走り出す。彼はあっという間に目的地にたどり着き、予想した通りの現状に頭を抱えたくなった。
リョウがたどり着くと同時に掴みかかっていた男子生徒を容赦なく殴り飛ばす見知った顔に、ため息をつかずにいられない。
文字通り吹っ飛んだ男子生徒に冷たい一瞥をくれ、口元の血を無造作に拭う男は差し出されたハンカチを黙ったまま睨みつける。
「また喧嘩かヒナト。お前も更生したらどうなんだ?また謹慎くらうぞ」
「…喧嘩じゃねえ。向こうが一方的に突っかかってきて」
「それを一方的に殴り返したのか。呆れていいかほめていいかわかんないぞ」
「どこにほめる要素があったよ!…あーもういい帰る」
ハンカチは受け取らず、ぷいっとそっぽを向いてだるそうにスクール鞄を肩にかけるヒナトの隣にリョウが自然な仕草で並ぶ。
「…なんだ。まだ用があんのか?」
「いや一緒に帰ろうかと思ってな!」
「もう勝手にしろ」
諦めのついたヒナトの肩をたたくときも、リョウは笑顔を崩さなかった。
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