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オレとおれ。その6にしおりをはさみました!
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オレとおれ。その6
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好きになったのは、きっとおれからだった。
告白する時は、死んじゃうんじゃないかってくらい緊張して、伝えたら那央が困るんじゃないかって思った。
友達という関係はすごく心地良かったけれど、おれは自分で思ってたよりも欲張りで、那央の特別になりたいって思うようになってしまったんだ。
「那央」
「ん?」
もしも、那央が同情からおれと付き合っているのだとしたら……
那央はおれよりも、秋人さん達と一緒にいる方が楽しいんじゃないか……
「おれの事……大事?」
なんて、そんな事を考えてしまうだけで涙が出そうになる。
捨てられるとしたら、それはおれの方。
おれにはもう、那央しかいないんだよ。
「カワちゃん、なに言ってんスか」
「わっ」
ズンッと背中に体重がのしかかる。
わしゃわしゃと髪を撫でられて那央が耳元でおれの名前を呼んだ。
「大事もなにも、オレはカワちゃんがいないと死んじゃうっス」
「…………」
那央は笑ってそう答える。
「ちょ、えっ…カワちゃんっ⁉︎」
那央は知らない。そう言ってもらえるだけでおれがどれ程嬉しいかなんて。
きっと、那央の中のおれと、おれの中の那央は特別の重さが違う。
「なんで泣くんスか?お腹でも痛いんスか?」
違うよ、と首をゆっくり横に振る。
ポロポロと涙が溢れて止まらなかった。
「おれ……ずっと那央と…一緒……いたい」
だから、危ない事ももうしてほしくない。
那央がおれより大事な人を見つけた時は、おれは一体どうするんだろう。
また一人に戻るのかな。名前も呼ばれない毎日を送る事になるんだろうか。
「和希」
「……っ」
目尻に溜まる涙を那央の指先が拭う。
「オレだってそう思ってるっス」
「……ほんとに…?」
「もちろん‼︎だから、喧嘩はもうしないっス。もし秋人さん達が誘ってきてもっス!」
「…那央は、それでいいの?」
手を伸ばすと、那央がそれを受け入れる。
「もちろん」と答える那央のキラキラ光る笑顔が眩しくてまた泣いてしまいそうになる。
「オレとカワちゃん、ずっと一緒っス!」
「おれと那央…」
「そ!ずーーっと!」
コツンとおでこがくっつくと、那央の笑顔がおれにも移ったみたい。
那央がおれの手を握っていてくれる日がいつまで続くか分からない。おれは怖がりだから、不安はこの先きっと消えない。
でも、それでも那央がおれの名前を呼んでくれる度に、あったかい気持ちがどんどん心に溜まっていくんだ。
「ねーねー!カワちゃん〜!チューしていいっスか?」
「……今は……ダメ」
「なんでっ!」
「ふふ……うそ…」
「もぉー!!」
ねぇ那央……贅沢は言わないから、もう少しだけ那央を独り占めしてもいいかな。
【オレとおれ。/終】
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