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紫陽の事にしおりをはさみました!
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紫陽の事
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今日は久しぶりのオフだから、掃除でもしようかな
「心、おはよう」
「おはよう」
「紫陽さんはまだ?」
「寝てるのかな・・・見てくるから先に食べてて」
「わかった」
暖かい味噌汁をお椀に入れて、テーブルの上に置いた
そう言えば、昨日も早く寝てしまったみたいだけど、仕事が忙しいのかな?
どちらにしても、無理はして欲しくない
紫陽さんの部屋の前に立ち、ノックした
「紫陽さん、朝食が出来ましたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「紫陽さん?」
返事がない
寝てるのかな
どうしよう
心配
「入りますよ・・・・・」
少し遠慮がちに声をかけて、ドアを開けて中に入った
「紫陽さん、朝食どうしますか?」
「・・・・・・・ああ、今日は食欲がないからすまない」
「大丈夫ですか?」
「心配はいらないよ」
すごく
辛そうだった
「僕には何でも言って下さい、お願いだから我慢しないで甘えて下さい」
「心」
「恋人でしょ?嘘とかいりません」
「・・・・・ああ、わかってるよ」
「どこが痛いんですか?」
「頭痛がね」
「冷やしますか?」
「ああ、そうだね」
「わかりました」
頭痛の理由は把握している
冷やして楽になるのなら何とかしてあげたい
少しでも痛みを取り除けるのなら何度でもタオルを取り替えたい
「紫陽さんは?」
「うん、頭痛がするみたい」
「大丈夫?」
「様子を見て病院に行くよ」
「そうした方がいいね」
「うん」
病院に行っても仕方ない事もわかってる
薬も効かないみたいだし、どうする事も出来ないなんて辛すぎる
本音を言えば、仕事を辞めてでも一緒にいたい
ずっと傍に居たいよ
でも、それは無理なんだよね?
紫陽さんが望まないのなら、僕は・・・・・・
「お待たせしました」
「ああ」
そっとタオルを額の上に置いた
「ここでいいですか?」
「ああ、気持ちいいよ」
「紫陽さん・・・・・」
そっと手を握りながら顔を見つめた
「頭痛と言うか、眼球の奥がね・・・・えぐられるような痛みなのさ・・・・心だから言う弱音だよ」
「はい」
「でも、そうやって手を握ってもらうと、痛みも和らぐ」
「はいっ」
「泣くんじゃないよ・・・まだ涙は流してはいけない」
「はい」
そっと僕の頬に触れた手は温かかった
頬に触れた手を握り締めながら天井を見上げた
これなら涙は零れないはず
「今日はオフで家に居ますので何でも言って下さいね」
「心も久しぶりのオフなんだから休んだ方がいい」
「いえ、僕は紫陽さんの傍に居たいです」
「・・・・・・・・そうかい」
「僕には遠慮しないで何でも言って下さいね?」
「ああ」
「約束です」
「わかった」
約束と言う言葉を求めてしまう
信じているけど、不安で仕方がない
何度も言葉に出して言うよりも、一度の約束でいい
それでいいんだ
「紫陽さん」
「ん?」
「今日は紫陽さんもオフですよね?」
「ああ」
「でしたら薬を飲んで下さい」
「でもねぇ」
「眠れない程の痛みなんでしょ?僕にはわかりますよ」
「心」
「僕がいますから薬を飲んで眠って下さい・・・・・そうじゃないと僕は心配で何も手につきそうにありません」
お願いだから、苦しまないで
「わかったよ」
「はい」
紫陽さんが薬を飲んでいない事は知っていたけど、休みの日ぐらいゆっくり休んで欲しい
「今、水を持って来ます」
「ああ」
どうせ手をつけていない薬の袋がそのままこの部屋のどこかに置かれているに違いない
急いで水を用意して、部屋を見渡した
「もしかして、病院に行ったままここに?」
「そうだね」
数日前にもらった薬はそのまま同じ場所に置かれていた
白い袋の中から、薬を取り出しじっと見つめた
(これで痛みがおさまって楽になれますように・・・)
「紫陽さん、あーんです」
「恥ずかしいよ」
「いいからあーん」
「・・・・・・・・わかったよ」
少し体を起こして口の中に薬を入れて水を飲ませた
「もう少し飲んで下さい」
喉に水が流れ込む度に、白い首が微かに動いた
生きている証拠だ
これで少しは楽になるかな
「眠くなったら、そのまま寝て下さいね」
「ああ」
タオルをそっと取り替えて、また手を握り締めた
綺麗な長い指
少し冷たい
昨日の楓さんの話をしながら二人で笑い、漸く薬が効いてきたのか、紫陽さんは何も話さなくなった
「おやすみなさい」
ずっと寝顔を見つめていたいけど、嫌だよね・・・・
今のうちに洗濯を済ませてしまおう
動いていれば少しは気も紛れるだろうしね
ずっと紫陽さんの事を考えていた
我慢出来ない程の痛みのはずなのにずっと一人でああやって耐えていたのかな
そういう時に、心に傍に居てもらいたいんじゃないのかな?
でも、紫陽さんにとって心に事実を告げる心の痛みより、頭痛の方が耐えられるのだろうか?
「・・・・・・・・・・・・・・・」
手に持ったプリンを和海に取り上げられて驚いた
「何?」
「考え込んで無意識にいくつ食べていると?」
「1個」
「楓の中では1個も10個も同じでしょ?」
「返して」
「少し休憩です」
「嫌」
「私もこんな事はしたくありませんが、さすがに食べ過ぎです」
「デブは嫌?」
「いえ、そういう意味ではなくて体を心配しているんです」
「うん」
返事をしながらプリンを取り返そうとしたけど、うまくかわされた
「痛い・・・・・」
「えっ?どうしました?」
「心が痛い」
「・・・・・・・・だめですよ、楓の体調が悪くなったら今度は私の心が痛みます」
「・・・・・・・・・・じゃんけん」
「いけません」
「もういい」
今の和海にきっと何を言っても無駄だから
そんな気がした
「楓、拗ねないで下さい」
「・・・・・・・・・・・・・」
「和海が食べて」
「えっ?」
「そのプリン」
「しかし」
「いいから食べて」
「・・・・・・・・はい」
和海がプリンを食べるのをじっと見つめた
「そんなに見つめられると」
「早く食べて」
「はい」
開けたばかりのプリンを食べる和海
きっと今の和海はプリン味
食べられないのなら・・・・・食べられないのなら・・・・・・
「ごちそうさ・・・・・えっ?」
「じっとして」
「楓」
和海の膝の上に座り、キスをして舌を絡みつけた
「もっと・・・・」
「はい」
激しいキスをしながら押し倒された
「積極的ですね」
「・・・・・・・・・・・・・寝る」
「えっ?」
「満足したから」
「まだ何も」
「プリン味のキス、美味しかった」
「えっ・・・?」
「じゃ、おやすみ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
もしかして、俺にプリンを食べさせたのはこの為か?
嬉しいような悲しいような
いや、悲しいだろ
でも、もしかしてこれから俺がプリンを食べれば楓は今のようにエロカワイイキスをしてくれるという事か?
悩む・・・・
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