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.にしおりをはさみました!
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そんな日々が何日続いただろう。
ある日俺は担任に頼まれ、プリントをまとめていた。
教室残っているのは俺だけで教室はしんとしていた。既に窓の外に見える景色は紅く染まっていて、早めに終わらせて帰ろうと思い、作業の手を早めた。
30分ほど経っただろうか。やっとプリントをまとめ終わり、担任に渡して帰ろうと席を立った時、不意にガラガラ...と教室の扉が開いた。誰か教師が入ってきたのかと扉の方へ向くとそこには彼───東堂捺芽がいた。
東堂は俺には見向きもせず自分の席に行き机の中からプリントを出した。
忘れ物をしたらしい。東堂はそのまま教室から立ち去ろうとした。
「待った!」
意識しない内にそんな言葉を口走っていた。
「っ...?」
ゆっくりと東堂が振り向く。
「...何か?」
「いや...あの...」
咄嗟に引き留めてしまったが、何を話していいか分からなかった。
一人あたふたしていたら、不意に東堂が口を開いた。
「あの...前に校門のところでぶつかってしまった人...ですよね...?」
「え?あぁそうだけど...」
驚いた。あんな些細な出来事を覚えているなんて、思ってもみなかった。
「綺麗な声をしていたので...覚えていたんです。」
にこりと東堂が微笑んだ。
綺麗だと...思った。
「俺、東堂 捺芽って言います。あなたは...?」
「俺は...瀬奈 美影(セナ ミカゲ)」
「美影君...名前も綺麗ですね...」
「同い年だし、敬語じゃなくていい」
敬語は壁があるようで苦手だ。
とくに彼には、敬語は使ってほしくなかった。
「あ...はい、じゃなくて...うん、分かった。
美影君、いつも挨拶してくれるよね。ありがとう。何話せばいいかわからなくて、いつも黙っちゃってごめんね...」
「いや...俺も東堂と何話せばいいかわからなかったから...お互い様」
そう言うと東堂はクスクスと笑って僕の事は捺芽って呼んでよ。と、言った。つられるように俺も笑ってわかったと返す。
教室に二人の笑い声がこだました。
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