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灰赤の章14にしおりをはさみました!
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灰赤の章14
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《ウウウウゥレシイイイィ………もっと……もっと強く……集めなイと……》
ブブブブフぶぶふブブブブフぶぶぶ…ゥ……ギニュッ
オオおお……グシャッ……ドンッ!
《蟻、蟻の大群が》
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
《トリ戻さナイト……集めル……6ツ………》
ブオブブブブフぶぶふブブブブフぶぶぶ………ドン!
物凄いノイズの様な心象の音量。
雨宮は振り向いた。
男の映像で見てはいた。見てはいたが、目の前に本物が立っているのは全く違う事だ。
人形の目。
硝子の目。
目を見開いて彼を見上げる。
頭がズキズキと痛くなる。
素早く動いたつもりでいた。
でも、実際はスローモーションみたいに鈍い動きをしていたのかもしれなかった。背後を振り向いた状態から手をついて膝を立て彼に向き直り、立ち上がろうとした。
圧倒的な"想いの強さ"に焼かれながら視界内の彼が首を傾げたのを見た。
そして彼は俺を強く後方に向けて押したのだ。
雨宮は河原の砂利の上に背中から倒れた。
大きな石が背中の下にあり、肺から空気が押し出された。
一瞬後に痛みが遅れて駆け抜ける。
ハア….ハア…ハア………
夕焼け空が見える。
自分の呼吸音がやけに大きく聞こえる。
心臓の音が煩い。
どこだ、彼は……
足元の方から屈んでいたらしい彼が立ち上がり、ゆっくりとその手を高く掲げた。雨宮は彼の手に大きな石があるのを見た。
「四十九院明希!!!」
石が振り下ろされる瞬間雨宮はそれだけ叫んだ。
肩を押された時に冷たい痺れと共に伝わってきた情報。
何故最後の時に名前を呼んだのか分からない。彼の手を止めたかったのか、これから自分の頭を潰す犯人の名を誰かが聞く事を願ったのか、その両方か。
今、俺の頭には黒い靄がかかっているのだろうか。他人の死期はわかっても自分の死期だけはわからない。
それだけは幸運だった。
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