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銅色の章10にしおりをはさみました!
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銅色の章10
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「未来の旦那様、私の小鳥、もう、早く大学に出てきてよ。」
カイリは雨宮のワンルームマンションの向かいに建つ商業施設の3階から、雨宮のマンションを覗いていた。
ゴスロリの店で買った可愛らしくデコられたオペラグラスを手にしてストーキングの真最中だった。
マンションを見つけるのは容易かった。
雨宮がバス通だと知ると、まずは停留所までつけた。
次の日には、自分の車でバスを遠巻きに追いかけた。
その後雨宮が降りた停留所を確認して帰り、更に翌日その停留所から少し離れた場所に陣取り、先回りして雨宮が降りるのを待った。観察対象が勘の鋭い人間の時には、一度に突き止めないで時間をかけるのだ。
雨宮は大学を数日病欠していた。
カイリは雨宮を巣に引き入れる好機かもしれないと踏んで観察を続けていたのだが、雨宮の部屋はカーテンが引いてあって中の様子は一向に分からずじまいだった。
もし部屋で雨宮が病で苦しんでいてもカイリには何も出来ずヤキモキするばかりだった。
雨宮という類稀な美しい小鳥。
カイリはそれを手に入れる為なら何でもする。
雨宮を未来の夫と決めつける盲信的な部分はまさに狂気じみていた。
部屋の前まで行けば、メーターから住人が中にいるかすぐに分かるのだが、マンションには監視カメラがある為それもままならない。
それに、もしカイリが部屋を訪れたところで、雨宮が部屋に上げてくれる事はなく、逆にどうして家を知っているのだと不審げに問われる筈とそのあたりは妙に現実的だった。
カイリは自分が小鳥たちに対して深い愛情を持っている事と共に、自分が彼らにストーキング行為をし、背いた小鳥を始末(殺人)した事、重大な犯罪を犯している事に正しく自覚がある。
だが、悔やむ気持ちは何処にも無い。
逆に殺人に関しては妙な自信さえ持ち、良心やモラルというものが完璧に欠如していた。
欲しいものが手に入ったら嬉しい。
理由は単純だ。
欲しいと思ったら何が何でも欲しかった。
カイリは清楚な外見と反比例する様に自分勝手で貪欲な魂をその身に宿していた。
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