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感情にしおりをはさみました!
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感情
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石川のあとに続いて長い廊下を来夏と並んで歩く。
ーーはじめは小瀬のことがものすごく怖かった。
けれど、小瀬に和哉への愛し方について問い詰めた時に、小瀬が寂しげな表情で自らのことを普通ではないと仄めかすような発言をしたのを見て、僕は今まで小瀬に対して抱いていた恐怖だとかそういう感情が揺らいでしまった。
ーー小瀬は、もしかしたら可哀想な人なのかもしれないと、そう思ったのだ。
……ふと、隣りに目を遣ると、来夏が珍しく眉間に皺を寄せて気難しそうな顔をしているのが見えた。
「……小瀬、さ」
「うん?」
来夏が僕の声に反応して視線を寄越す。
「……誰かに助けてほしかったのかな」
「…うん、多分」
でも、と来夏が続ける。
「それが、和哉と涼真を傷つけていい理由になるかって聞かれたら、ならないと俺は思うんだ」
「まあ……そうだね」
……来夏は、いつも正しい。
誰が何と言おうと、自分が正しいと思ったことは決して曲げない。
それは、自己中心的な頑固さとか、そういう類いのものではなくて、純粋に自分をしっかりと持っているということだ。
「来夏はやっぱり、頼もしいなあ」
「え、なんでいきなり!?」
「ふふっ、そういうところ本当昔から変わらなくて……」
好き、と言おうとしたが、言う直前のところで言葉が止まる。
ズキンとこめかみが痛くなり、ぎゅっと目を瞑った。
「…どうかした?」
「え……あ、ううん!なんでもない!大丈夫」
来夏が何か聞きたそうな顔をしていると、前方から声がかかった。
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