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59にしおりをはさみました!
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59
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「おはようございます、レナード様」
「ああ、おはよう」
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
レナードの部屋へ入ってきた使用人のモーニングコールとともに、レナードがベッドから出ていく動作で、悟は目を覚ます。しかし、身体は起こさず、隠れるようにシーツにくるまった。
今この時点で、レナードの部屋にいるということがバレるのはまずい。そして、レナードのシャツだけを羽織っている姿で、ここから出ていけるわけがないからだ。
「モーニングティーの準備が出来ておりますのでどうぞ」
この声を聞いて、悟はハッと気づく。
「アルバート。サトルにもいれてやってくれ」
それから、レナードが口から出したことに言葉を失った。
そういえば、最近のレナードの給仕役は番の噂もあって悟ではなく、アルバートや他の使用人が担当することが多くなっていた。運悪く、今日の給仕はアルバートらしい。
昨晩の件もあり、悟はますますここから出たくなくなる。あんな貪欲に溺れたはしたない姿を見られて。そして、アルバートを裏切るような行為をして、平常心ではいられなかった。
「え……? か、かしこまりました」
そんな悟に対してアルバートは戸惑いながらも、ベッドのほうをチラリと見て、紅茶の用意をする。
駄目。近づかないで。
悟の願いは、すぐに消え失せてしまう。
「サトルさん、おはようございます。どうぞ」
「……おはよう、アルバート……」
ベッドの前にアルバートがいる。さすがに無視をすることは出来なくて身体を起こすと、アルバートはその場に跪いた。心臓がキリキリ痛む。挨拶以上の言葉が出てこなくて、悟は手で口元を押さえ、視線を逸らした。
きっちり釦をとめていないレナードのシャツからは、悟の肌がさらけ出している。その肌は所々、紅い花びらが散っていて。
アルバートは苦く笑って、重い口を開いた。
「昨晩は大変無礼な真似をしてしまい、申し訳ございません。モーニングティーはこちらに置いておきますので、よろしければどうぞ」
そう言いながら、サイドテーブルに紅茶を置く。
さらに悟の心は傷ついた。謝るべきは悟であって、アルバートが謝る必要はないのだ。それに、レナードがいるからなのか、他人行儀なアルバートに悲しみが押し寄せる。
「待っ……」
悟がアルバートを止めようとすると、それを振り払うかのようにアルバートは背を向けて。
「レナード様、朝食はどうなさいますか?」
「そうだな……この部屋で食べよう。サトルと一緒に食べたい。サトルの分も用意してくれ……ああ、そうだ。あと着替えもだな」
「かしこまりました。そのように手配いたしましょう」
レナードから指示を受け、一礼をしてから部屋を去っていく。
今、何が起こったのだろう。レナードから聞こえてきたことが理解し難くて、悟は呆然としていた。そして、次第に身体が震え上がり、止まらなくなる。
「あ、ああ……おやめください。レナード様、おやめください!」
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