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「ご馳走様でした。……って、なんだよその顔」
幽霊でも見たように驚く獅子原の顔を睨みつける。
「いや、まさかのセリフに驚いただけだ」
「俺だって必要最低限のマナーぐらい守るわ」
『ご馳走様』その一言でここまで驚かれるなんてバカにされてるとしか思えない。
「 クソ生意気で口が悪いお前が、ご馳走様なんて言えることに先生はビックリだ」
どんだけサボり魔で遅刻魔でも挨拶と礼儀ぐらい出来なきゃ人間のクズだと思う。
「意外と可愛いとこあんのな、お前」
頬杖を突きながら柔らかく笑う獅子原。
バカにされるのは大嫌いだが、こうやって素直に褒められるのは慣れていなくて調子が狂う。
「テメェ殺すぞ。」
だから精一杯睨みつけて悪態をつく。
けれど俺の威嚇など、目の前の男には効くわけなどなくて。
「お前がダメならテメェもダメだろ。それとも何か?お仕置きでもされたいのか?」
この後、俺がコイツに暴言を浴びせまくったのは言うまでもない。
*
適当な服に着替えて、言われた通りマンションの下で待つ。すると、地下の駐車場から黒い車がやって来た。
俺の真ん前で止まった車の窓が開く。
運転席から覗いている顔は紛れもなく獅子原だ。
「お待たせ。乗れよ」
やたら綺麗に磨かれた車は獅子原の性格かもしれない。
さっきの料理だって小分けされていたし、食べ終わってすぐ洗ってたし。
完璧主義…っていうか自分にも他人にも厳しそうな男。
ってかこういう場合ってどこに乗んの?
助手席か後ろか…まぁ助手席は無いわな。
そう思って後ろのドアに手をかけた時だった。
「バカ。前に座れよ」
「は?前に乗るモンなの?」
「なんで2人で乗るのに後ろなんだよ。
お前は前に乗っていいの」
イメージでは助手席は彼女だけ…とかじゃねぇの?ドラマとかでそういう話見た事あるんだけど。
俺は男だからセーフなのか?うん、そうだな。
自分なりの答えを見つけ、助手席に乗り込む。
車内からは甘いバニラの香りに、仄かにタバコの匂いがした。
やっぱり中も綺麗に整頓されていて黒一色。
ぬいぐるみとかも置いてない。
モテ男の車だ。
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