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「桃ちゃんって呼んでね?」
バチッとウインクをかましたおネェの桃ちゃん。
それがリカちゃんの彼女じゃなかったと知って力が抜ける。
「……リカちゃんはどこですか?」
「今は車置きに行ってるからすぐ来るわよ?えーっと……君は…」
「兎丸です」
「トマル…?」
さっきまでのヘラヘラ笑顔が無くなり、スッと目つきが鋭くなる。
「え、なに?」
「トマルって…兎に丸?もしかしてお兄さんいる?」
「いますけど…。今年24になる兄が」
フルフルと桃ちゃんが首を振る。
鋭かった目つきが何か言いたげで、眉を寄せた表情が辛そうに見えた。
「じゃなくて。私と同い年の26歳」
26歳の兄ちゃん。
今はもういない。
「…………生きてたらいましたね。8年前に死んじゃったけど」
兎丸 星一。
優しくて勉強が出来て、母さんが出て行った後、俺の面倒を見てくれた。
みんなに好かれる自慢の兄ちゃんだった。
「桃ちゃんは星兄ちゃんの知り合い?」
「私は…「桃!!」」
答えを聞く前に駆けつけてきたリカちゃんによって、桃ちゃんの言葉はかき消された。
「リカ……」
「ったく、お前鍵も無いくせに先に行くってバカか」
エレベーターから降りてきたリカちゃんの視線が桃ちゃんから俺へ移る。
「ウサギ?今帰ってきたのか?」
「あぁ、うん」
「お前帰んの遅すぎ。飯は?ちゃんと食った?」
「食ったよ。お前は俺の母親か」
帰宅時間に夕飯の心配までしてくるリカちゃんに、俺は昼間の事なんかすっかり忘れてしまっていた。
リカちゃんも気にしていないのか何も言わずにチラッと桃ちゃんを見る。
そして気まずそうに視線をそらした。
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