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前を歩く桃さんを見て俺は笑いが堪えられない。
大人ぶって澄ましてるくせに、ちょっとからかえば赤くなる。
距離をとろうとしながらも隙のありすぎる人。
もっとからかって、もっと俺を見てほしいなと思った。
「じゃあ俺も好きな花1つ教えますから」
「別にいらない」
「まぁまぁ。勝手に喋るんで気にしないでいいっすよ」
背中に向かって話しかける。
「明るいところが好き。
周りを気遣えるところが好き。
いつも賑やかで人を笑顔にさせるところが好き。
強がってるのに傷つきやすいところが好き」
「ちょ……ちょっと待っ、」
「自分の事じゃないことで怒って泣けるところが好き。
バカなフリして頭の回転が早くて。
そのくせ、やり過ぎてお節介なところも
こうやって勝手してる俺なんかに付き合っちゃうような人の良さも、すっげぇ好き」
だいぶ前から遅くなっていた足がピタリと止まる。
こちらを睨みつける顔は真っ赤で、なんかもう俺まで赤くなりそうだった。
「………それ…何の花よ」
知ってるくせに。
「桃。俺は桃が大好き」
この気持ちを恋と呼ばないのなら、俺はもう恋なんて出来ない。
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