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「社長…?そろそろ、次の打ち合わせの時間ですが…?どうしました…?」
来客用の大きなソファーに崩れるようにして凭れかかる俺の姿に、訪ねてきた青柳が不審な声を上げる。
「あ…、やられた…」
「え?なんです?」
「昨日のっ!あの…薬、実沙に…見つかった」
「…それで?何て言っていました?どうする、と…?」
「…処分する…って、持って行った…」
気力なく座りこむ俺に、憐れんだ視線を向けてくる。
「…良かったんじゃないですか?隠し通せるものでもありませんし」
「良いわけあるかっ!持って行ったんだぞ?
処分するとは言っていたが、今あいつの手の中なのか処分されたのか。気が気でないよ…」
「追いかけて、確かめれば良かったじゃないですか?でなければ、ご自分で処分したら良かったのに」
そうしたかったさ。
でも、そんな事をしてみろ。
余計な詮索が増えるだけで、小言が続くに決まってる。
「出来るなら、そうしたかったよ…」
せっかく、面白い薬を手に入れたと思ったのに。
こんなに早く実沙に見つかるとは思わなかったな…。
「…たぶん、奥様はもう処分済みだと思いますよ?」
青柳の言葉に驚いて、ソファーから飛び起きる。
「…なんで、わかる?」
「…先程。こちらに向かう途中で、給湯室から出てこられる奥様を見ました。
その時に、もう手には瓶など持っていなかったですから…」
そうか…。
秘書室からここに戻ってくる間に、すれ違ったんだな。
なら、実沙はここから出てすぐに捨てに行ったことになる。
はぁ~…。一気に力が抜けた…。
「瓶がちゃんと処分されているか確認してきますから。
社長は、出かける支度をしておいてくださいよ?
そんな、腑抜けた姿じゃ先方に失礼ですからね」
「はいはい。…頼むよ…」
部屋から出ていく青柳の後姿を見送りながら、少しシワの寄ってしまったシャツを伸ばす。
そしてネクタイを締め直し、身支度を整える。
実沙が来た事で、見ていた書類も散らばってしまった。
あれくらいの事で、だいぶ同様していたのがわかり気落ちしてくる。
俺も大概の事では動じないつもりだったが、今回の件は想像以上に驚いた。
まさか、実沙が持って現れるとは思わなかったからな。
今日はうまく逃れられたかもしれないが、次回は余程気を付けることにしよう。
懲りずに、またあの店で。
魔法の小瓶が手に入った時には。
今度こそは…。
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