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出会い
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ルディ「まいど」
建付けの悪い扉が音を立てて閉まり、店は静寂に包まれる
街はずれ、狭くて薄暗いカウンター式の薬屋
今日は風邪薬がよく売れたな
ルディ「...」
春の夕暮れ時、夕日が窓から柔らかに射し込んでいる
そろそろ店を閉める時間だ
鍵をかけようと手を伸ばした扉が、軋んだ音と共に開く
ルディ「…もう店は終いだぞ」
そこには夕日を背中に浴びる背の高い青年が立っていた
デューク「あっあの、僕、デュークって言います...その...」
青年はもじもじして、その淡い栗色の柔らかそうな髪の毛を触った
俺は青年のハッキリしない態度に苛立って、あからさまに眉をひそめて見せる
ルディ「用が無いなら帰ってくれ」
そう言ってドアノブに手をかけると、青年が焦った様子で口を開いた
デューク「あのっで、で、弟子にしてくださいッ」
...
...
...
ルディ「…は?」
デューク「おっお願いします、弟子にしてくださ...」
ルディ「無理だ」
デューク「あっ扉閉めないで!」
青年はこの際当たって砕けろ精神なのか、扉をぐいっと引いて距離を詰めた
建付けの悪い扉はギイッと音を立てる
デューク「弟が病気で、治してあげたいんです…だから…」
弟、ね
家族とか友情とか
綺麗な話は大嫌いだ
ルディ「ほか当たってくれ」
デューク「お願いします...っ」
ルディ「悪いな」
大きく開かれた扉を引き戻し、パタンと閉める
青年が去るのも待たずに鍵をかけた
他人と言葉を交わすのは、商売以外では久々だ
…図々しい奴もいるものだ
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ルディ「…ずっと居たのかよ」
デューク「あ、おはようございます.........」
翌朝店を開けると、扉のすぐ横に体育座りの男
デューク「ぅへっくしッッ」
...
馬鹿だ
春と言ってもまだ3月
外で一晩寝たら風邪を引くのは分かりきっている
ルディ「…入れ」
デューク「えっいいんですか」
ルディ「...」
無言で店の中に入ると、そいつも小声で『おじゃまします』と言ってついてきた
店の奥、自宅へ続く扉を開く
奥の部屋に通してソファに座らせると、毛布を投げ渡した
デューク「おっ、と」
棚から風邪薬を取り出して水と一緒に渡す
デューク「ありがとうございます」
頬が赤くなってるし、多分熱もあるだろう
デューク「ルディさんの薬ならすぐ治りますね、へへ」
ルディ「…何で俺の名前知ってんだよ」
デューク「皆知ってますよ。ルディさんの薬はよく効くって評判ですから」
皆知ってる?
信じられない
店に来る客は皆俺を怖がって顔も見ないんだぞ
それに、俺の薬が評判だという事も初耳だ
デューク「僕の事覚えてませんか?前にも何度かお店にお邪魔したんですけど…」
ルディ「全然覚えてねえ」
デューク「みたいですね...」
わかりやすくしゅんとする
人懐こい目に、やわらかなもの言い
他人から好かれる要素が詰め込まれたような奴だ
ルディ「...俺店戻るから、そこで寝てろ」
デュークって言ったか?
俺も鬼じゃない
馬鹿な青年に休む場所を貸すだけだ
店を閉める頃には熱も下がっているはず
その時に改めて追い出してやる
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