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謎の美男
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ルディ「まいど」
店の扉が開く度に、初夏の風が俺の髪の毛を揺らした
デュークを追い出してから1ヶ月
季節が春から夏に変わろうとしていた
デュークは店に現れてない
俺は仕事柄ずっと店にこもりっぱなしだし
ルディ「はあ...」
「溜息ばっか吐いてどうしたの?」
ルディ「!?」
「そんなに警戒しないで、僕アーロンっていうんだ」
店番をしていると突然声をかけられた
カウンターに手をつき、ニッコリと爽やかに笑う男
背はデュークよりも少し高いか?
アーロン「僕よくここに来てるんだけど、君最近元気ないよね」
カウンター越しに紫色の綺麗な瞳が覗き込んでくる
俺とは真逆の存在感
直感的に、関わってはいけない気がして
背もたれのない、くるくる回るタイプの椅子に座っていた俺はくるっとそっぽを向いた
アーロン「前から思ってたけど、愛想ないね」
ふっと優しく笑う
俺の目の前に移動して、再びカウンター越しに覗き込まれる
何だこいつ
愛想なくて悪かったな
鬱陶しいという気持ちを全面に押し出して睨む
苦笑するそいつは、ゆるくウェーブした銀髪をふわっと揺らした
少し長めの前髪から覗く瞳が大人の色気を感じさせる
…女はこういう男が好きなんだろうな
アーロン「気難しい店主だねぇ」
無言で別の客の会計をする間も、そいつはカウンターに寄りかかりその様子を面白そうに眺めていた
ルディ「...用が無いなら帰れよ」
仕事に支障があるわけじゃないが
なんとなく目障りだ
無駄にキラキラして、なんか
ほら、女達がこいつをチラチラ見ながら頬を染めて笑い合ってる
アーロン「ひどいなあ、ちゃんと買い物しに来たんだよ」
そう言ってふわりと髪の毛を揺らすと、改めて俺に向き直った
アーロン「筋力低下剤あるかな。ふふ、僕ね、猛獣使いやってるんだ」
それは名前の通り、筋力を低下させる薬
つまり飲むと体に力が入らなくなるものだった
暴れる犯罪者を連行する際なんかに使われるものだが
アーロン「扱いにくい狼がいてね」
この薬で大人しくさせるって訳か
へえ、そんな事にも使えるのか
自分で作ってる薬だけど、意外な所で使われてるもんだな
ルディ「まいど」
アーロン「またね」
ひらひらと手を振って去っていった
店を出る際に
女に向けて微笑むことも忘れない
微笑まれた女共は、顔を真っ赤にして歓喜の悲鳴をあげた
俺とは別世界の人間だな
猛獣使いか
動物は嫌いじゃない
嘘を吐かないし
動物が寄ってくるってことは、純粋にその人が好きという事だ
そこに下心はない
…少し、興味が湧いた
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ルディ「...」
不味い
1日の営業を終え、夕食時
デュークの料理の味を覚えてしまった舌には、パンとチーズの組み合わせが何とも味気なく感じる
風呂も沸いてない
ベッドも前日のまま
机は元の汚さに戻ってしまった
追い出したのは俺だが
至るところでデュークの存在の大きさを思い知らされる
明日は休みだし、気晴らしに街に出てみるか
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