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記憶 5
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ルディさんが
支えないと崩れてしまいそうだったから
思わず抱きしめた
声を抑えるように嗚咽を漏らすルディさん
溜め込んでいたものが溢れ出すように
ボロボロと零れる涙が僕の肩を濡らした
大人がこんなに泣いているのを
僕は初めて見た
ルディさんの心は
子供のままなのかもしれないな
1mほどの高さの小さな扉
西洋の方ではよくある物置部屋だ
ルディさんは酷く怯えている
さっき
突然しゃがみ込むから心配して駆け寄ると
『ごめんなさい』
と
耳を澄まさないと聞き取れないくらい小さな声だったけど
何度も何度も
『母さんって、どんなんだろうな』
震える声でルディさんが言う
母親の
暖かい眼差しも
やわらかな手の感触も
耳に残る優しい声も
知らないまま生きてきたのか
親戚の家で1人
どれだけ酷い扱いを受けてきたんだろう
僕にも親はいない
でも、僕にはノアがいる
両親は亡くなるまで僕らを可愛がってくれたし、愛してくれた
だから
ルディさんの痛みは計り知れない
僕には
とても
でも
ここがルディさんのかつての家なんて
すごい偶然だ
今では僕の母親の姉夫婦の家だけど
おばさんが何か知ってるかもしれないな
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