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催眠術師
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ソファに腰掛け、家から持ち出してきた本を読んでいた
店もしばらくは開けられないし、カルロスの家にいたって読書以外に時間を潰す方法がない
デュークはメグと2人で1日中レシピの考案をしている
お互い趣味が合うからか、考える間も試作をする間もすごく楽しそうだ
ルディ「…」
駄目だ、本に集中できない
朝も夜も読書ばかりで体もなまっている
街にでも出てみるか
ルディ「……街行ってくる」
デューク「えっ」
デュークに声をかけると、デュークは選択物をたたんでいた手を止め少し焦ったように振り向いた
デューク「僕も行きます!」
また俺が連れ去られることを心配しているんだろう
デュークは立ち上がり支度を始める
ルディ「いいよ、一人で行く」
デューク「でも...」
ルディ「一人になりてえんだよ」
不安そうな顔をするデューク
…少し言い方が悪かったか
心配してくれたのにな
ルディ「…すぐ戻るって」
心配そうに見つめる視線を背中に感じながら家を出た
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街は相変わらずガヤガヤと騒がしかった
特に目的のない俺は何となく市場に出る
「今朝あがったばかりの魚!どうだい!」
「元気な牛はいらねえか?よく働くぜ!」
「最高級の絹、今日は特別に半額だよ!」
延々と並ぶ屋台
飛び交うかけ声
すれ違う人の肩がぶつかる
やはり人混みは嫌いだ
市場に足を踏み入れた事を後悔しながら早く市場を抜けるようにと足を進める
ようやく人の波も落ち着いた頃
ふと、1人の商人が目に入った
市場の影にポツンと座っている
紺色のマントに身を包み、顔は頭巾で隠れていた
占い師だろうか
周りの世界から独立した、というよりも
切り離されたような
妙な雰囲気
見ていると、不意に顔を上げたそいつと目が合う
「......これはこれは...」
若い男だった
ややあどけない顔つきに目の下のクマが目立つ
男は不気味に笑い、大きな目をギラリと光らせた
この手の商人につかまると胡散臭い話を長々と聞かされて面倒になる
俺はその場を離れようと体の向きを変えた
「...あなたは寂しい」
俺の背中に向かってそいつがポツリと呟いた
俺はピタリと足を止める
「愛に飢えている…誰かに聞いて欲しい」
誰にでも該当するような事柄をつらつらと並べて
客引きのつもりか
「...デューク」
ルディ「!?」
そいつの口から零れた言葉に思わず振り返った
どうしてその名を知ってるんだ?
「僕は占い師ですから」
ルディ「...」
「あなたを占いましょう」
俺はその不思議な感覚に、引き寄せられるように歩みを戻した
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