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中学校に向かいながら俺たちは他愛もない話をしていた。
好きな食べ物はなんだとか。趣味はなんだとか。本当に何でもない話をしていた。
程なくして中学校に到着すると、もうほとんどの準備は終わりかけていて親父も周囲のおじさんと世間話をしていた。
「おっす、今戻ったよー。」
俺が力なく手を振りながら親父に近付いていくと、サボりやがってと頭を叩かれた。
親父の周囲にいるおじさんたちに挨拶をしていると、親父は俺の後ろに隠れていた竜樹を見付けて声をかけた。
久しぶり!と。
俺は親父のその言葉があまり理解できずにいた。
久しぶり?
「親父この子知ってんの?」
俺の言葉を聞いてハテナマークを頭に浮かべる親父。
そして、忘れたのか?と一言。
話を聞くと、俺と竜樹は10年近く前に同じ集合団地に住んでいて毎日のように俺は竜樹と遊んであげていたとか。
集合団地の近所付き合いはとても良好で、その子供たちの中で最年長だった俺はよく近所の子供たちの遊び相手をしていた。
その記憶は確かにある。
しかし一度に10人以上の年下の子供の相手をしていたのだ、すべての子を覚えていろという方が無理だろう。
しかも仮に10年前だとして、俺は10歳、竜樹は5歳だ。
遊んであげていた記憶はあれど、みんなあだ名とかチビとかいろんな呼び名だったためフルネームで認識している子なんて一人もいない気がする。
俺が考えている間、竜樹は下をむいたまま一度も声を発さなかった。
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