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冬の夜 1
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「あ」
アルとミカがソファで並んでテレビを見ていたら、突然画面が暗くなり照明が消えた。
「停電?」
「またストライキかな?」
ミカは手探りでローテーブルに置いたはずのスマートフォンを取り、その明かりを頼りに非常用の充電式ランタンを取りに行こうとソファを立った。
アルは自分の携帯電話を取ると足元を照らしながら窓に寄ってカーテンを開けた。
外を見ると遠くの方では明かりが見える。
停電の範囲はそれほど広くないのかもしれない。
しかし、それよりも驚いたのはいつの間にか降り始めていた雪。
ランタンを手に戻ってきたミカはアルの隣で外を見て
「道理で寒いわけだ」
と呟いた。
広いバルコニーは雪化粧をしていて、プランターも鉢植えの木も丸みのある白い塊になっている。
外は暗いのに雪の白さで不思議な明るさだ。
かすかな光すら反射して雪だけがほのかに光っているように見える。
街中に住んでいてはなかなか見ることができないこの光景に2人はしばし見惚れた。
窓から侵入する冷気で手が冷えてきて、はたとアルは気が付いた。
「停電てことはヒーター切れちゃってるよね」
このアパルトマンは、どこもそうであるようにセントラルヒーティングだ。
そして、ガス式ではなく電気式。
今はまだ壁も天井も温まっているから、一気に冷えることは無いだろう。
しかし、いずれは室内の気温も下がる。
それからやっと気が付いた。
ベッドルームは弱設定にしてある。
普段は寝る1時間くらい前に設定を強に変えるのだが今日はそういうわけにいかない。
寒い部屋で冷えたベッドに潜り込まねばならないわけだ。
「しまった…」
今暖かいからといってリビングで寝るわけにはいかないし、いずれはここも寒くなるわけだからベッドで寝た方がいいだろう。
「ホットミルク作ろうか?」
ミカが何を考えているのか察したアルは眠る前に体を温めようと、そう言った。
「ん~、それならホットワインがいいかな」
ミカはアルの手を引いてキッチンへ連れて行った。
「アルはまだお酒飲めないからチャイを作ってあげるね」
「なら、俺がミカのホットワイン作るよ」
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