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冬の夜 2
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ランタンの明かりを頼りに棚からスパイスを取り出し、冷蔵庫から昨日開けて残っていた赤ワインを取り出す。
「開けても暗い冷蔵庫って初めて見たかも」
当たり前のことが起きないとこうも不思議なものかとアルが笑いながらそう言った。
「ユダヤ人の冷蔵庫みたいだね」
「え、何それ?」
「僕も見たことは無いけど、明かりをつけると働いたことになるから安息日はスイッチを切り替えて冷蔵庫開けても明かりがつかないようにするんだって」
「まじ!?」
「らしいよ」
ミカが赤ワインのボトルを傾けながら答えるとアルは「あ、待って」と彼を止めた。
「ホットワインの作り方教えて」
「アルはまだ飲めないよ?」
「いや、俺じゃなくて、ミカに作ってあげる時に、ミカの好きなスパイスとか知っておきたいから…」
少し照れながら答えるアルは、ランタンの明るさでは良く見えないが、多分ほんのり赤面しているのだろう。
ホットワインに入れるスパイスの好みは人それぞれだ。
自分の好みを知っておきたいとアルが思ってくれたのが嬉しくて、ミカはアルの頭をそっと撫でた。
「ふふ、ありがと。僕が好きなのはシナモン、ナツメグ、クローブ、ジンジャー、あればスターアニスかな。シロップは入れない派。たまに気分でドライオレンジ入れる。今日はジンジャー多めがいいな」
「ん、分かった。じゃ、俺がミカの作る」
「なら、僕はアルのチャイを作るね。好きなスパイス教えて?」
「ミカが作ってくれるなら、何でも好き」
可愛いこと言うなぁ。
ミカはアルの頬にキスすると「僕の好きなの入れるね」と囁いた。
ガスの炎が並んで立つ2人を照らす。
揺れる影はまるで焚き火に当たっているかのようで、暗さと寒さも相まってキャンプでもしてるかのような気分になる。
「ジンジャー、これくらい?」
「うん、今日は寒いからね」
小さな鍋の中で赤ワインが煮え、スパイスと混ざっていい香りが立つ。
隣のコンロではミカがミルクを温めている。
紅茶葉を入れると優しい香りが立ち昇った。
「アルのもジンジャー多めに入れとくね。寒いからブラックペッパーちょっとだけ入れても大丈夫?」
「うん」
そして、それぞれカップに注ぎ、それを持って2人はベッドルームへ向かった。
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