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冬の夜 3
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予想通りそこは寒くて、ベッドも冷えている。
毛布を1枚追加して2人で足を入れ、「冷た~い」と顔をしかめるアルにミカが笑う。
クローゼットから出してきたもう1枚の毛布をアルの肩にかけ、ミカはそれを自分にもかけた。
肩寄せ合って1枚の毛布に2人でくるまっていると不思議と寒さも忘れる。
「おいしい」
アルがチャイを一口飲んでそう言った。
「甘さ、ちょうど良かった?」
「うん、ありがと。ホットワインは? 味、大丈夫?」
ミカはこくんと一口含んだ。
ミディアムボディの渋み、スパイスの香り、甘み、辛み、のどを落ちる温かさ。
いつもと同じなのにアルが作ってくれたというだけで別物のように感じる。
「うん、おいしいよ。アルも18才になったら飲めるね」
それまで何回アルはこれを作ってくれるかな?
それまで自分はアルを引き留めておけるのかな?
アルは自分を選んでくれた。
だから信用していいはず。
でも、自分に自信が無い。
‘散歩’はまだ卒業できていない。
離したくない。アルも離れたくないと言ってくれている。
でも、年齢差は確実だ。
ティーンエイジャーは大人に比べて気持ちの揺らぎが大きい。
いつ気が変わるか分からない。
アルの気持ちを疑うわけではない。
今、この瞬間のアルの気持ちは疑わない。
しかし、それが続くとは限らない。
それを止めておけるほど、自分には求心力があるだろうか?
引き付け続けておけるだろうか?
自分の弱さからアルの気持ちを値踏みしてしまう。
アルが知ったら憤慨するだろう非礼な行為だ。
弱いな。
ミカはもう一口ホットワインを、言えない感情と共に飲みこんだ。
一口ごとにじんわりと体が温まってくる。
飲み終わる頃にはヒーターが入っていないのも気にならないほどポカポカだ。
「あったかい内に寝ようか」
ナイトテーブルにカップを置き、体温で温まったベッドに2人は潜り込んだ。
「なんかこういうの楽しいね」
「非日常ってやつ?」
ミカにじゃれるように抱きつくアルを抱き寄せ、ミカもつられて笑った。
「あのね、俺、色んな人の家に泊まってたでしょ? 冬の夜に寒い部屋と冷たいベッドっていうと思い出す人がいるんだ」
アルは記憶を手繰るように、ゆっくりと話し出した。
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