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出会いは秋でした 12
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ミカがテストを受けさせてみると、アルはコレージュ(中学校)修了程度の学力を有していることがわかった。
そこで、ホームスクーリング用の教材を取り寄せてアルにやらせてみる。
彼は嫌がるどころか嬉々として勉強に勤しんだ。
もうすぐ、アルの左腕は完治してしまうだろう。
今の内に話し合っておこうと、ミカはアルに訊ねた。
「治ったら‘帰る場所’探しに行くのかい?」
唇をきゅっと結んで、教科書から顔を上げるアル。
「ミカを悲しませる…?」
「そう言うってことは、もう決めてるんだね…?」
アルは再び視線を手元に落とした。
「探しに行きたいんだ」
覚悟はしていたが、やはりかとミカは肩を落とした。
「…でも」
アルが顔を上げるとミカは悲しそうな笑顔で見つめ返してきた。
「でも…、ここ、居心地がいいんだ」
不思議そうな、少し驚いた顔でミカがアルの台詞の続きを待つ。
「だから…、ここ、俺の帰る場所にしていい?」
ただ嬉しくて、嬉しすぎて言葉が出なくて、ミカはアルを抱きしめた。
アルの髪に暖かな水滴が伝う。
「ミカ、泣き虫だ」
「君のせいだよ」
そして、どちらからともなく唇を合わせた。
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