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アルは会社員1年生 1
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ミカがアルを入社させる時、周囲には彼が自分の息子であることを隠さず伝えた。
もちろん養子であり、数年後には秘書にすること、だから各部署を経験させると伝えた。
学ぶために色々な部署を回るわけだから、社長の息子だといって遠慮はいらない、むしろ厳しく指導して欲しいと、ミカは加えてお願いもしていた。
だからアルは真摯に学び、手を抜かずに仕事をした。
ミカの顔に泥を塗りたくない。
甘えたくはない。
ミカの期待に応えたい。
そう願ってのことだった。
しかし、その熱心さが実は社員たちの不安を煽っていることに、アルもミカも気付いていなかった。
アルが入社して数ヶ月が過ぎる頃、アルは色んな人から同じことを聞かれるようになった。
「社長の体調はどう?」と。
特に異常とは思えなかったので、アルはいつも「大丈夫だと思います」と答えていた。
最初の内は挨拶のようなものだと思っていたが、やたらと聞かれるので不思議に思った。
しかし、それも忙しいミカを心配してのことなのだと、アルは納得した。
皆に体調を気遣われるなんてミカは慕われているんだな、とアルはますます熱心に仕事に取り組んだ。
だが、それが余計に不安を煽っていたとは、アルは全く知らなかった。
それからしばらくして、社内をある噂が流れていた。
ミカ重病説である。
さすがにアルの前でそれを話す者はいなかったし、面と向かって聞いてくる者もなかった。
しかし、人の口に戸は立てられない。
いつしかそれはアルの耳にも届くものとなった。
昼休み、アルは居ても立ってもいられず社長室に向かった。
秘書のジルにミカに会いたいと告げると、しばらく待たされたあと許可が出た。
「どうしたの? アル」
慌てた様子のアルに驚いてミカが訊ねると、アルは唐突に言った。
「ミカ死んじゃうの!?」
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