アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
監禁したい 3
-
アルの‘散歩’は不定期だ。
数か月行かないかと思えば週に2回も行く時がある。
その時はちょうど仕事が忙しい時期で、僕も疲れていた。
だから、先週‘散歩’に行ったばかりのアルが、また家にいないことに気付いて僕はぐったりとしてしまった。
探しに行こう。
僕は今閉めたばかりの玄関を開けて、車に乗り込んだ。
車を走らせながら自然とため息が出てしまう。
あとどれくらい、この‘散歩’と付き合えばいいんだろう?
いっそ探しになど行かず放っておいた方がいいんだろうか?
だってアルは自分1人で帰ってきたこともあるんだから。
その方が僕だって疲れない。
…でも、きっと心配で眠れないだろう。
結局、探しに、迎えに行くのは自分のためなんだ。
なら僕が止めると決めればいいだけのことなんじゃないか。
心配も、いずれは慣れるかもしれない。
そんなことを考えている内にアルの姿を見つけた。
誰かと喋ってる。
まさか、また? どこかに泊まる気なのか?
それとも記憶が戻った? それで、僕を忘れたとか?
スマートフォンを握ったまま、僕はアルに電話できずにいた。
アルには僕が必要ないんじゃないだろうか?
アルを必要としてるのは僕で、アルにとって僕は好きだけどそれほど重要じゃない…とか?
だって実際、アルを繋ぎ止めておけてない。
こうやって何回も‘散歩’に出る。
アルにとって僕は不十分? アンカーとして不足なんじゃないか?
だとしたら、僕は…。
不安が胸にあふれて苦しい。
黒い紐のようなもので絞めつけられてるみたいだ。
アル、帰ってきてくれ。僕にはアルが必要なんだ…!
僕は車から降りるとアルの手を取って有無を言わさず引っ張った。
驚いたアルは自分の手を取ってるのが僕だと気付かず一度は抵抗したが、すぐに「ミカ!?」と大きな声を発した。
アルが話してた相手が何か言ってるが、そんなの無視だ。
アルは「ありがと。また!」なんて言ってるけど二度と会わせるもんか。
僕はアルを助手席に放り込み、無言で発進させた。
いつものようにアルが抱き着いてこない。
当然だろう。僕はきっと怖い顔をしてる。
「…ミカ? 怒ってる? …よね…」
信号で止まると僕は噛みつくようにキスをした。
アルの反応も気持ちも無視して、ただ押し付けるように口内を犯した。
2人の荒い息遣いが車内を満たし、視線をぶつけてると後ろの車がクラクションを鳴らした。
僕は手の甲でぐいっと口元をぬぐうと、荒っぽく車を発進させた。
アルの驚きと困惑に満ちた瞳を見つめる僕の視線は、きっと鋭かったはずだ。
アルは怒りと受け取ったことだろう。
確かにそうだ。僕は怒ってる。
でも、それは根底に悲しみがある怒りであることを、アルはきっと分かってない。
怯えさせたくない。なのに委縮させてる。
余計にイライラする。
僕では不足なんだと、ひどく落ち込む。
その落ち込む原因であるアルに怒りの矛先を向けるのは子供のやることだ。
そうじゃない。伝えたいのは悲しみ。
いや、それさえもいらない。
伝えたいのは、知ってほしいのは愛してること。
そして、僕を選んでほしいという願い。
ひどく哀れだな、と自嘲する。
お願いだから僕を選んでくれ。―なんて滑稽。
でも、それでもアルが欲しい。
おかしいと思われてもいい。
自分でも自分がおかしいと思ってる。
だってそうだろう? アルは18歳も年下で、そして同性だ。
なのに僕はこんなにもアルが愛しい。
狂ってる。わかってる。まさに恋だ。
人を愚かにするのが恋だというが、まさにその通り。
僕はきっと愚かだ。
でも、それでもいい。
アルが、僕には必要なんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 213