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混交雑 2
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ジルはアルに車で病院まで送ってもらうと、順番待ちの間にロロの世話に関する注意事項を伝えた。
診察が終わり薬をもらうと、アルはジルを自宅まで送り届けた。
ジルの様子にベビーシッターは驚いていたが、すぐにロロをジルから離して別室へ連れて行った。
そして、彼女はロロに1人でそこで待つように言うとジルの寝室に入った。
「すまないわね、アル」
「いえ、お気になさらずに」
ジルはベビーシッターに、ロロはアル達が預かってくれることになったこと、彼等が仕事帰りにここに寄るまでロロの面倒を見ていてほしいこと、2人とも育児未経験なので細かく教えてあげてほしいこと等を伝えた。
彼女は快くOKと笑ってくれた。
そして、アルに手を洗うように指示すると、ロロの待つ部屋へ連れて行った。
「ロロ、この人が今夜からあなたと一緒にいてくれるアルよ」
「初めまして、ロロ。アルです」
アルが握手しようと出した手をロロが不思議そうに見て、それからアルの顔をじっと見る。
「ロロ、ジルは病気なの。あなたにうつるといけないからあなたのママンが来るまでアルのお家に避難するのよ」
ベビーシッターの説明にもロロはきょとんとしたまま。
「まぁ、無理もないでしょう」
彼女はため息まじりにそう言うと、今夜は良く眠れるように昼寝させないでおくと話し、ロロの世話に必要なことを説明してくれた。
アルはお礼と、大体の到着時刻を伝えると会社に戻った。
ミカに帰社したと告げ、ジルの具合を報告すると、アルは自分の机に戻った。
夕方になって、アルが社長室に行くと
「アル、どれがいいかな?」
とミカはパソコンのモニターをアルに向けた。
何のことだろうと覗き込むと、そこに映っていたのは子供服の数々。
「は? 社長はこれを買うのですか?」
「ロロにどうかと思って」
ニコニコと答えるミカは一体どれくらいの時間こんなことをしていたのだろうか、とアルは呆れてしまった。
「あのですね、社長、今は仕事の時間です。真面目に仕事してください。それから、ロロは我が家に2泊しかしません。持参の服だけで十分です」
青筋を立てながらも、何とか冷静に言おうと努力しながらアルは事実を告げた。
「え~、だって折角だし、可愛いし、楽しんでほしいし、喜ばせたいし」
「社長、早くしないとベビーシッターとの約束の時間に間に合いません。とっとと仕事してください」
「あ、そうだね。大変大変」
口では大変なんて言ってるくせに楽しげな笑顔のまま、ミカはアルから書類を受け取った。
2人でジルの家に着いたのは予定より少々遅い時刻だったがベビーシッターは待っていてくれた。
ミカがジルに具合を聞くと、辛そうな顔で「熱がまだ下がらない」と答えた。
「ロロのことは心配しなくていいからね。ゆっくり休んで」
「ありがとうございます」
そこへアルに抱っこされたロロが来て「お休みなさい」と手を振り、ジルも力ない笑顔で「お休み」と手を振った。
ロロは泣いたりしなかったものの終始きょとんとしていた。
何が起きてるか分からなかったのかもしれない。
しかし、好都合だ。
これ幸いとばかりにミカとアルはロロを車に乗せて帰宅した。
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