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愛してるって言いたかった。ハグしてキスをしたかった。 14
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ミカはちらっと時計を見た。
窓の外は暗い。
事故発生から約9時間。
事故現場は特定できたが転落した斜面が急なことと積雪のため捜索が難航していると知らされてから既に数時間が経っていた。
皆疲れ切った様子で、泣く者、関係者に食って掛かる者と様々だ。
ミカは、もしアルが見つからなかったら…と考えた。
アルを失ったら…、今日の帰宅は自分だけでということになる。
鍵を開け、ドアを開け、誰もいない、明かりの灯っていない部屋に入る。
キッチンもリビングも冷えていることだろう。
アルはいない。
アルと出会う前の生活に戻る。
ひとりで起きて、ひとりで食べて、ひとりで出勤して、ひとりで帰り、ひとりで寝る。
数年前に戻るだけだ。
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