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愛してるって言いたかった。ハグしてキスをしたかった。 17
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もう、誰もが無言だった。
寒いと言う者も、空腹を訴える者も、救助はまだかと言う者もいなかった。
皆、怯えていた。
凍死は苦しいのかな?
餓死は辛いのかな?
熊に襲われたら痛いだろうな。
アルは焚き火の炎を見つめながら、死が頭をよぎるのを止められずいた。
死んだら、もうミカに会えないな。
まだ何も恩返ししてないのに。
ミカの作るクロークムッシュ、また食べたいな。
せっかくミカに教わって、上手に焼けるようになったから食べさせたいと思ってたのに…。
帰れたらミカに作ってあげよう。それから、あれも作って、それから、それから…。
…無事、帰れたらの話だよな。
何考えてるんだろ、俺。
きっとこのままここで…。
帰れないんだろうな、多分。
ミカ、一目でいい、会いたい。
一回でいい、ハグしてキスしたい。
ミカ、大好きって、あと一回でいいから伝えて、それからさよならしたかった。
ミカ、愛してる…。
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