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ランジェリーをめぐる攻防戦 アル編 2
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ミカがアルを大学へ行かせることにしたのは将来を考えてのことだ。
学歴や資格の面だけではない。
記憶喪失の上に‘散歩’が心配でバカロレア合格までほとんど家から出さず、ミカは自分以外の人間と極力接触させなかった。
もちろんミカと出会う前にも多くに人間と接触してきたようだが、どれもこれもその場限りの関係だ。
だから人間関係の構築も人との正常な付き合い方もアルは知らなかった。
だから大学へ行かせた。
失敗が許される内に学び、失敗を体験して、そこから回復したり、やり直す術を身に付けさせることが勉学よりも大きな目的だった。
だから、まぁ、友人のバースディパーティーで酔い潰れるのは良い体験だろうし、きっと初めての二日酔いも社会人になってから体験するよりいいだろう。
しかし、ちょっぴり意地悪したくなったのも事実だ。
「…本当に?」
ミカはアルににっこりと頷いた。
「だって約束したでしょ?」
そう言ってスマホのムービー再生をタップする。
『アル、バレンタインデーに贈ったベビードールとスキャンティ、着てくれる?』
『い~よ~』
画面には半裸で酔っ払って顔を赤らめ、上機嫌なアルが昨夜ミカと交わした会話が再生されていく。
『それでおねだりもしてくれる?』
『おねだりしちゃ~う』
『他にも色々したいんだけど、いい?』
『ミカのお願いなんでも聞いちゃうよ~』
ミカがスマホを振りながら「ね?」と悪い笑顔をアルに向けた。
「俺、覚えてないんだけど」
「酔ってたみたいだもんね」
「だから、それ無効」
「ん~? ダメだよ~。証拠はしっかり残ってるんだから」
「意地悪い」
上目遣いで睨んでくるアルは半日以上寝たおかげで、すっかりアルコールも抜けたようだ。
酔っていない状態であれを着るのは、さすがに恥ずかしいだろう。
「これに懲りてアルコールは限度を知って飲むんだね。僕じゃない誰かに悪用されちゃうリスクだってあるんだから」
自分の限界を知るのも今の内。
酔っぱらってしでかす失敗も今の内。
酒は怖いと身をもって知るなら早い内が良い。
アルはミカに教訓となる体験をさせてもらったわけだが、当然感謝などできるわけもない。
「ほんとに着るの?」
「うん。夕食終わってからでいいよ」
ミカは上機嫌でそう答えた。
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