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緑茶の国で 2
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京都駅で出迎えてくれたのは、緑茶の生産から小売りまでをトータルに商う上羽茶園の社長と営業の社員だった。
上羽茶園は生産だけなら古くからやっていたそうだが、近年の緑茶消費量の減少やペットボトル緑茶の普及で安い茶葉に押され、輸出に活路を見出そうと考えていたところでウィリアムズ商事と出会い、互いに渡りに船だったらしい。
この茶園の製品は安全重視のため品質は良いが値が張る。
そこに価値を置ける人は買うが、そうでない消費者も多い。
ミカの方針は食品であれ、食器、調理器具であれ、口に入るものなのだから極力安全に、且つ美味しく便利に、だ。
見た目を重視しないわけではないが、優先はしない。
だから安全を重視した茶園が淘汰されるのはミカにしたら勿体無いの一言に尽きるわけだ。
「おおきに。暑いところを良くおいでおくれやすどした」
「こんにちは。お久しぶりです。暑い中をありがとうございます」
リシャールが流暢な日本語で挨拶を返す。
彼の日本語は、もちろん妻仕込み。
だから当然、リシャールは日本語が上手なのだが、しかし彼の知る日本語はいわゆる標準語だ。
なので、まだ2回目の訪問となる京都の言葉には前回四苦八苦させられたので、今回もそうなりそうだと覚悟はしてきた。
しかし、そこはさすが上羽社長。
リシャールの前回の様子から、努めて標準語を使おうと配慮してくれるらしい。
挨拶以降の会話はリシャールにも分かりやすいものとなった。
初日は長旅の疲れもあるでしょうからと、移動しないで済むように社屋内で上羽茶園の紹介と日本茶の基礎知識を教えてもらって終わりになった。
夜は京懐石をごちそうになった後ホテルへ。
翌日からは茶農場、製造加工工場の見学などであちこち回った。
3日目は観光も兼ねてお茶だけでなく、和菓子、茶器を見て味わうために市内を歩いた。
茶道のお手前も体験し、ミカ、アル、リシャール、ともに正座で足が痺れて立てなくなるという貴重な経験をした。
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