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緑茶の国で 6
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いよいよ明日は日本を離れるという日になった。
畳に敷かれた布団の上で寝るのも今夜が最後。
初日は慣れなくて体が痛かったけど、今では背筋が伸びていいなと思い始めている。
それでもやっぱりベッドがいいとミカが言うのでアルが理由を尋ねれば、スプリングが利いてる方がセックスが楽しいと答えるものだからアルは赤面して返事に窮した。
そんなアルが可愛くて、明日は長時間飛行機に乗るというのに、ミカがキスをしてアルに火を点けた。
体が辛くならないようにとミカはバックでアルを貫いた。
それでもキスがしたくてアルは肩越しにミカにねだる。
ミカはアルを抱き起し、アルは伸びをするようにミカの頭へ腕を回した。
突き上げられ、揺らされる不安定な体を支えるミカの手がアルの胸をまさぐる。
アルが声を上げ、離れた唇から熱く息をこぼした。
もっと、とアルはキスを求めてミカと舌を触れ合わせる。
やがてアルが背を反らして白濁を飛ばし、ミカもアルの中に熱を放った。
それでも治まらない2人はアルの正常位がいいというリクエストと、アルの腰が心配なミカの折衷案で対面座位を選んだ。
アルの寝ていた布団一式と枕や座布団を積み上げて壁に寄せ、それに寄りかかるようにして体を横たえたミカの上にアルがいる。
一度熱を放った後だからガツガツと頂点を求めることはしない。
それでも早く繋がりたくて、先程ミカを受け入れて既に柔らかくなっている後孔へアルはミカをいざなった。
後ろ手にミカの先端をあてがう。
粘性の音がして、それがアルの鼓膜を欲で染め、脳を痺れさせていく。
体はその先の快感を知っている。
それを期待して後孔が震えた。
アルがうっとりと目を閉じ、腰を落としていく。
ミカを受け入れるため息を吐く様はミカの視覚を直撃した。
ピンク色に膨れた乳首を見せつけるように胸を反らし、眉を寄せ小さく声を上げるアル。
視線を下げれば硬く勃ち上がったものは蜜をこぼし、すでに光っていた。
その奥で自分がアルに呑み込まれていく。
柔らかく包まれたかと思うと引き込まれるように奥へ奥へとうごめく熱い粘膜。
そこへ分け入っていく、いや、喰われていく。
やがて隙間なく収まると、ミカはアルを支えていた手を離した。
そして上体を起こすとアルの体にキスを落としていく。
アルがゆっくりと腰を上下させた。
動きに見合うねっとりとした音が鳴る。
「アル、まだ」
「?」
くるむように抱きしめ、ミカが軽くキスをした。
「動かないで。キスしたい」
一度目は繋がることを性急に求めてキスもそこそこに後孔をほぐし、ゆっくり愛撫することも無かった。
だから今はたっぷりとキスしたい。
ただ熱を放つのではなく、味わって、高め合って、愛し合いたい。
体の快感と満足だけでなく心まで満たされたい。
アルが応えてミカにキスをした。
吐息を混ぜ合わせるように唇と舌で互いの唇と舌を撫でていく。
歯列をなぞり、上顎を舌先でつつく。
舌の裏を舐め上げ、舌先を歯で甘噛みして吸うと、ちゅっと音がした。
ミカのキスにアルが溶かされ、アルのキスでミカが溶けていく。
「ミカ、愛してる、ミカ」
耳元でアルが苦しそうに告白した。
呼吸が苦しいのではない。
アルは胸の奥が苦しかった。
壊れるほどきつくミカを抱きしめてしまいそうで、それを抑えるのも苦しかった。
「ミカ、ミカ」
何度も切なげに名を呼ぶアル。
「泣いてるの?」
ミカはアルの肩に顎を乗せたまま頭を撫でた。
「ううん」
肩口に顔をうずめるアルの表情は見えないが、なぜだか泣いてるように思えて、ミカは心配よりも愛しさが勝ってアルに頬擦りした。
「アル、愛してるよ」
「うん、ありがと。すごい奇跡だって思ってる」
普段あまり口にしない単語をアルの口から聞いて、ミカはおや?と耳を傾けた。
奇跡だなんて、何をそう感じたのだろう。
ミカが背を優しく撫でるとアルは話し出した。
「古い建物、いっぱい見たでしょ?」
「うん」
「陶器もお茶も、みんな歴史あるものだった」
「そうだね」
「この国は、文化は、長い時間をかけて創られてる。浴衣を着てみて、この国の民族衣装を着た自分やミカを想像してみた」
「そう…」
「正直、馴染まないなって思った。…でも、そうならなかったのは単なる偶然なんだって気付いたんだ」
ミカが聞いてるよ、という風にアルの背を撫でた。
「ミカが1000年も昔に生まれてた可能性だってある。俺がこの国に生まれてた可能性だってある。それを考えたら同じ時代、同じ国にいて出会えたって奇跡だなって思った。ミカとこうして一緒にいられるのはすごい奇跡だって…思ったんだ」
アルはぎゅっとミカに回した腕に力を入れた。
「だから嬉しくて、すごく大事に思えて、離したくないっていうか、なんか、このまま永遠に、このままずっといたいって思って…」
胸が締め付けられるように苦しくなって熱くなる。
今、自分の腕の中にいる愛しい恋人は多くの偶然の重なりで自分のものになっている。
ほんの少し何かが違っていたら、今、自分はこうしてはいないだろう。
それを思うと、この瞬間がどれほど大きな幸せかと気付いて言葉が見つからず、こみ上げてくるものを、胸の苦しさを解放しようと口を開けば出てくるのは陳腐なセリフしかない。
「ミカ、愛してる」
万感の思いを込めてアルが告白した。
ミカは少し体を離すと両手でアルの頬を包んだ。
泣きそうに切なげなアルの瞳を優しく見つめ返して、ミカはやわらかく微笑んだ。
「そんなこと考えてたの」
ミカの指がアルの髪を梳いていく。
「嬉しいよ、アル。僕も奇跡だと思う。君とこうして人生を共にできるのは有り得ないほどの幸せだ。だからアル、君を離さないよ」
まっすぐにアルの瞳を見つめるミカ。
「アル、僕も君を愛してる」
心からのキスをして強く抱きしめた。
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