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緑茶の国で 7
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「ミカ、印が欲しい」
優しいキスを繰り返し、背中に回った手で互いの呼吸を確かめて、これも多くの偶然の上に成り立つ奇跡なんだと幸せを噛み締めて、そしてアルがそう言った。
「キスマーク?」
「ううん、誰も届かないとこ、誰にも見えないとこ、俺の中、一番奥」
アルが臍の少し下をさすった。
「ここにミカがいる。俺でも届かない、知らないとこ。ミカしか届かない、ミカしか知らないとこ」
ミカの手を取り、アルは自分が触れていたところに触れさせ、その上に自分の手を重ねた。
「ミカの印、ここに付けて。ミカの色を塗って。俺の一番深いとこ。奇跡の証拠だから」
どれほど注いでも、何度放っても、何の変化も起こらない生産性の無い行為。
非現実的なのは分かっているが、ミカをとどめておきたい、ミカの注いだものをとどめておけたらいいのに、とアルは願った。
ミカは柔らかく唇を押し当てた。
「アル、君のそういうセンスにはいつも驚かされるよ」
こつんと額を合わせて、ミカは
「じゃぁ、もっと深く繋がろう」
と、アルの左手を右手で、アルの右手を左手で握った。
「膝を立ててごらん」
言われたとおりに、ゆっくりと足を動かす。
そうすると体重が後ろへ移動してバランスが悪くなる。
ミカは自分も膝を立ててアルの背を支えた。
自重でアルがミカの上をすべり、深くまでミカが侵入した。
「ぁうっ!」
アルがのけ反るとさらに深くなる。
「もっと膝曲がる?」
ミカが促すと、息を乱しながら見つめ合い、アルはさらに膝を立てた。
さらにバランスが悪くなって後ろへ倒れそうになるのを、ミカが手を引いてとどめる。
「アル、良く見えるよ」
結合部を強調するように曝け出す自分の姿にアルが羞恥を感じて膝をすり合わせる。
そうすると中が摩擦されてアルは声を上げるしかなくなった。
「動いてごらん」
今までより深くて、これ以上ないくらい奥。
これまで感じたことのない場所でミカを感じる。
物理的には下腹部に収まっているのだろう。
しかしアルは鳩尾まで届いているかのような圧迫感と、確かな存在感を味わっていた。
アルの動きに合わせてミカが緩く突き上げる。
その度にアルの体は跳ね上がり、汗で滑り落ち、また深くまで貫かれる。
苦しい。
痛くはないし辛くもない。
むしろ、この苦しさすら気持ちいい。
全身でミカを感じる。
繋がっているところだけでなく、手で、耳で、肌で。
そして、それが思考を溶かしていく。
アルの内腿が震え、甘い叫びが高くなった。
「イって、アル」
繋いだ手をぐいと引くようにして背を反らしながらアルが腹を汚し、ミカも突き上げて最奥を白く塗った。
くったりとしたアルの手を引き抱き寄せ、ミカはアルの頭を肩で支えた。
「きつかった?」
「…ううん…」
「大丈夫?」
「うん」
アルが唇に触れているミカの肌に音を立ててキスをした。
「気持ち良かった」
肩で息をしながらアルが囁く。
ミカは指で髪を梳いて、その髪にキスを落とした。
「僕も気持ち良かった。印、残せたかな?」
「うん、ありがと」
ミカはいたわるようにアルの肩や背をそっと撫でた。
「アルが大学生の時、事故に遭ったでしょ?」
「うん」
「あの時、アルには二度と会えなくなると思った。でも生きてた。だから今、こうしてアルは僕と一緒にいる。出会えたのは奇跡。でもそれだけじゃない。今、この瞬間も奇跡だよ」
アルはミカの背に腕を回して力を込めた。
「愛してる。大事過ぎて、もっと色々言いたいのに言葉が見つからない」
「十分だよ、アル」
頬を包むようにしてミカがキスをした。
優しい眼差しでアルを見るミカの表情は、いつも通り柔らかくて温かい。
それがまたアルの胸を締め付ける。
「伝わってるよ。僕も愛してるから」
泣きそうな顔でアルがキスをして、それから幸せそうに笑った。
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