アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
あなたを愛します 7
-
翌日、病院へ行くとミカが眉間にしわを寄せていた。
痛いのか、苦しいのか。
アルは慌てて看護師を呼んだ。
しかし、むしろ良い兆候だと言われた。
今まで全く反応が無かったのが、こうして表情があるのは回復の兆しなのだ、と。
良かったですねと言われたが、アルは頷けなかった。
こんなに辛そうなのにどうして良いと言えるだろう。
確かの医学的にはそうなのかもしれないが、それでもアルは腹立たしい思いだった。
ミカが感じている苦痛はどれほどのものなのだろう。
代われるものなら代わりたい。
あの時、歩道に立っている位置が違ったらミカはこんなことにはならなかったのに。
自分がミカの位置に立っていたら良かった。
いや、他の人が立っていれば良かった。
そもそも、あの道を通らなければ、あの時刻でなければ、いや、あの店で食事をしないで別の店だったら良かった。
違う。あの日、自分が誕生日だったから、だからミカはこんな目に遭った。
ミカは出会った日を誕生日として選んでくれた。
せっかくの記念日なのにこんなことになった。
そもそも出会わなければミカは事故になど遭わずに済んだのじゃないか?
ダメだ。この思考は止めなきゃ。
ミカに教わったことが全然生かされてない。
後悔なんてしてる時間はもったいない。前へ、ただ前へ。
もし、後ろを振り返るなら前進するための糧として使うこと。
そう教わった。
…ミカ、でも、これは無理だ。次回に生かすなんてできないよ…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
154 / 213