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あなたを愛します 13
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食事も普通に摂れるようになり、ゆっくりではあっても日常的な動作はできるようになり、車いすも不要になって、ミカは退院した。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「ゆっくりだよ。転ぶから」
「そんなに心配しなくても」
笑いながらそう言うミカの足取りは、年齢相応の衰え以上には筋力は落ちていないようで、思いの外しっかりしている。
それでもアルは、まるで幼児の手を引くようにミカの手をしっかり握っている。
「一緒に開けてくれないか?」
玄関の前でミカがアルの手の中にある鍵に指を触れた。
「うん」
2人で鍵穴に差し込み、ミカがテンキーに指をすべらせた。
「暗証番号、覚えてたね、僕」
笑うミカにアルが頷いた。
アルがドアを開け、中に入り、ミカが続く。
「ただいま」
まぶしそうに目を細めるミカ。
同じように細めた目から涙をにじませるアル。
「お帰りなさい、ミカ」
アルがミカを抱きしめた。
ミカはアルを抱きしめ返して、帰ってこれたことに感謝した。
「ただいま、アル。待たせたね」
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