アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
arbre généalogique ~mére~ 4
-
「すみません。僕はまだ、あなたのことをお母さんとは呼べません。ごめんなさい。気持ちがついていかないというか、整理が出来てなくて…。弱っているあなたに酷いことを言うようで心苦しいのですが、嘘はつきたくない。だから、あなたがフィンランドに戻った理由も、今は聞く余裕が無いんです」
ミカは辛そうに言葉を続けた。
「父からはあなたと離婚した理由は聞いていません。でも、彼があなたを悪く言ったことは一度もありません。だから、ごめんなさい。あなたのお話は、僕が聞ける状態になってから伺ってもいいですか?」
ヘリュは再会した息子を見上げていた目を伏せ、手を離すと俯いて頷いた。
「そうよね。あなたの気持ちも考えずにごめんなさい」
「こちらこそすみません」
ヘリュはミカの後ろに目を転じた。
そこには黙って2人を見守っていたアルがいた。
「あちらが、あなたが連れて行くと言っていた方?」
ミカはあらかじめ家族を1人連れて行くと言ってあったが詳しくは知らせていなかった。
空港でもリクとシニッカには名前しか紹介していない。
ミカはヘリュに頷くとアルを近くに呼んだ。
「初めまして、ヘリュ。アルです」
ヘリュは彼にも優しくハグをした。
「僕の息子です」
「奥さんは? 今日は来られなかったの?」
「いえ、いません。アルは養子なんです」
ヘリュは良く分からないといった顔でミカを見つめた。
しかし、それに応えず、ミカは曖昧に微笑んだ。
「母さん、それくらいにしてあげなよ。長旅で2人とも疲れてるんだから」
リクがそう言いながらヘリュにコーヒーを渡した。
そして、椅子を持ってくるとミカとアルを座らせ、シニッカが彼等にコーヒーを手渡した。
キュヨスティとリクは牛に餌をやりに行くと言って出て行った。
シニッカはヘリュのベッドの近く、ミカとアルのそばに椅子を引っ張ってきて自分もコーヒーを飲み始めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
177 / 213