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arbre généalogique ~mére~ 13
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その年のクリスマス、ミカとアルはキュヨスティ達とヘリュの墓参りに行き、数日を彼等の家で過ごした。
ミカ達が滞在中、リクは有機酪農に切り替える方向で今、実際的なことを検討していると伝えた。
ミカは礼を述べ、リクも新たなチャレンジにわくわくしていると笑った。
酪農方法を切り替えれば一見やっていることは同じに見えて、今までとは全く違うことをやるようなものだ。
楽しいことばかりではないだろう。
ミカ側とて同じだ。
オリジナルブランドを冠せば、それなりに責任も大きくなる。
そして、たとえ今すぐ切り替えると決断したとしても、実際に生産販売するまでには何年もかかる。
この件にはアルをきちんと立ち会わせよう。
他のことよりも深くかかわらせよう。
これは単なる商取引ではない。
アルのために残す遺産だ。
母ヘリュが繋いでくれた縁。
彼女がいなければこうはならなかった。
感謝している。
自分が世を去った後、ひとり残されるであろうアルのことが気がかりでならなかった。
でも、これで彼を、再び天涯孤独の身にしてしまわずにすむ。
ヘリュが見つけてくれて良かった。
これは自分からだけでなくヘリュからアルへの遺産でもある。
アルは血は繋がっていなくとも、ヘリュのお陰でこの家族と繋がれた。
有り難い。
ミカはヘリュの写真をそっと撫でた。
写真の中の彼女は笑っている。
アルが目元がそっくりだと言った笑顔だ。
似てると言われて驚いたが、後になって嬉しくなった。
彼女の目元を指先でなぞり、ミカは胸の内で語りかけた。
ありがとう、ママン。
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