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ミカの告白 3
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テオが留学期間を終えるまでわずかとなった日、彼は寂しそうに言った。
「ありがとう」と。
何がどうありがとうなんだか理解できなくて、なぜだか腹が立った。
それを言ったら「だってミカは俺のこと、好きにならないだろ?」と目尻を下げた。
僕は乱暴に彼を押し倒すと伸し掛かり、噛みつくようにキスをした。
首筋をきつく吸い上げると彼が泣いて嫌がった。
「勘違いするからやめてくれ」
「勘違いって何?」
「ミカに愛されてるって勘違いしちゃうだろ。そんなの辛いよ」
僕は自分のシャツを脱ぎながら睨みつけた。
「辛かったら忘れないだろ? 僕のこと」
「そんなことしなくても忘れないよ」
「いいや、時間と共に忘れる、絶対に」
「好きな人のこと忘れるもんか」
なぜ忘れられるのが、そんなに嫌だったんだろう?
なぜ覚えてて欲しいと思ったんだろう?
今考えると不思議だ。
僕は、あの時テオを好きだったんだろうか?
「テオ、今日が最後だ。今までのお礼とお返し、受け取れ」
僕は彼を優しく抱いた。
今までの一方的なセックスではなくて、まるで愛し合う者同士のように抱いた。
彼は泣きながら嫌だと言って身を捩ったが、僕は押さえつけて体中愛撫した。
初めてだった。
彼の体のどこが敏感で、どんな風にすると声を上げるのか、僕は初めて知った。
事後の気怠さの中でテオは、初めて「愛してる」と言った。
言えば壊れそうで、今まで好きとしか言えなかったけど最後だから、と彼は告げた。
僕は何と答えたろう?
何も言わなかったか?
覚えていない。
そして、数日後、テオは帰国した。
それきり連絡は取ってない。
今どこでどうしてるか全く知らない。
古い思い出だ。
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