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「いやー、スッキリした顔しちゃってねぇ〜」
俺の前を歩く兄は俺から顔が見えない
「そうだね」
感情のこもってない言葉を吐くと赤い背中は少し笑った声を出し
冷蔵庫から缶ビールを3本手に取った
「朝からカラ松の子守ごくろーさん」
と言って1つ俺の手にビールを握らせ居間に腰を下ろした
「っあ〜!昼間のビールは最高!!」
クズ丸出しのセリフの斜め前には俺も腰を下ろした
「なー、お前本気なの?」
「……なんのこと??」
ビールに口を付けながら話すおそ松兄さんに俺はシラをきる
「俺は、可愛い弟が悲しい想いすんのが嫌なだけだよ?」
嘘付け。
俺の悲しみや苦しみを全て飲んだような表情に腹が立った。
「…ま、カラ松の気持ちもくんでやれってこと。」
酒が回ってきたのかふらふらとした様子で言う
「お前はどうなんだよ」
そう聞くとビール缶の水滴をなぞっていた指が止まって
俺にニヤリと意地の悪い顔を見せた
「俺はただ兄弟が大好きなだけだから」
口には出さないがまた一つ暴言を吐く
「ありゃ、これカラ松のビールじゃん」
すっかり出来上がってしまったおそ松兄さんは
空っぽになったビールを揺らす
確かにそこには“次男”とでかでかと書かれている
「まぁ…気付かなかったって事で!」
などと言い缶を潰しゴミ箱に投げ入れた
よくそんなことが出来るものだ。
あんなにもでかでかと書かれているのに
気付かなかった?絶対に嘘だろコイツ。
それなのに躊躇することなく全て飲み込み潰して捨てるなんて
俺には出来ない。
だから、もうこの想いを踏み潰して捨てられない。
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