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苦手な人①
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歓迎会の後は特に変わったことは何も無く、月曜日を迎えた。平日を迎えたばかりで、何となく怠い曜日だ。
昼になり、休憩時間に入る。
この会社には大きな食堂があり、俺はいつも、そこで昼食を取っていた。
大きな丸テーブルの上には、お盆に乗った白米や味噌汁、ハンバーグ。大抵はそんな感じで、同じメニューを注文している。
弁当を作ってくる人もいるが、俺は面倒だから作ってくることはなかった。
それから、ここの食堂は長テーブルではないから、1つのテーブルには3人程度しか座れない。だが、テーブルはたくさん設置してあるので、社員が座れないと問題になることは無かった。
「いただきます」
今、俺の座るテーブルには1人しかいない。
故意にでは無いが、一ノ瀬くんと同じテーブルで食べることは、あまりしなかった。
するとそこに、1人の男が相席して来る。
「陽裕くん、ここ座っていいかな」
言わずもがな、世良さんだ。
「…どうぞ」
つい最近、この男については一ノ瀬くんから注意を受けたばかりだ。俺は警戒して世良さんと接する。
「俺、別のところ行きます」
俺は立ち上がろうと、腰を上げた。
幸い、空いてるテーブルは他にもある。最悪女性の中に座ることになるかもしれないが、世良さんと一緒になるくらいならそっちの方がマシだ。
しかし、それは世良さんに止められる。
「待ってよ」
世良さんに腕を掴まれそうになって、咄嗟に俺は後退った。だが、後ろには椅子があったので、それが倒れる音が食堂内に煩く響く。
「触らないで、ください……!」
警戒心丸出しで言い放つが、世良さんは少しも表情を変えない。
「そんなこと言わないでよ」
まるでお面でも貼り付けたような笑顔に、俺は更に嫌悪感を増す。この人は、俺が嫌がるのを分かって触ってくるのだろうか。
「もう、俺に構わないでください!」
周りの視線など気にしていられなかった。
早くこの人から離れたい。そればかりが脳内を支配する。
俺は椅子を元に戻し、早足でその場を去った。
「……へぇ」
その後で、郁弥はテーブルに着く。
「そんなに拒絶されちゃうと、増々手に入れたくなるねぇ、陽裕くん」
▽ ▽ ▽
自分の部署に戻った俺は、深い溜息を吐いてデスクに座った。隣では、一ノ瀬くんがミネラルウォーターを飲んでいる。
「…どうしたんですか」
ペットボトルのキャップを締め、聞いてくる。
大したことではないけど、世良さんのことだから言った方がいいだろうか。
「世良さんが、食堂に……てか俺の隣に来たんです」
「え?大丈夫でしたか?何もされていませんか」
だが、一ノ瀬くんは思いの外心配してくれる。
「とりあえずは……」
なんて言うけど、この短期間であんなに接近されたら、手を出されるのも時間の問題な気がする。
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