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「…どうして、あんなこと言ったんですか」
世良さんがいなくなったあとで、そう問い掛けた。一ノ瀬くんは、こんな形で気持ちが伝わっても嬉しくないに決まってる。
「佐伯さん、俺が恋愛感情で佐伯さんに接してるのは、怖いですか」
しかし、一ノ瀬くんは俺の質問には答えず、逆に問われた。
はぐらかしていい質問では無いと思うから、俺は少し考える。
「えっと……」
一ノ瀬くんがいつから俺のことを好きだったのか分からないが、少なからず最近の一ノ瀬くんはそういう気持ちで接していたということになる。
でも、一ノ瀬くんは優しいから、怖いとは思わなかったんだと思う。
「…怖くはない…です……」
「じゃあ俺のことは、恋愛感情で好きですか」
立て続けに質問された。しかも、答え難い質問を。
一ノ瀬くんに対する自分の気持ちは、よく分からないのが答えなんだけど、これは嘘を言ったら失礼だよな。今は正直に答えるべきなんだろう。
「…男性と付き合うっていうのは、よく理解出来ないできなくて……それに、俺は一ノ瀬くんとは釣り合いません。だから…」
「そうですか、分かりました」
一ノ瀬くんは途中で話を止めた。
言葉を選び間違えたのかな。一ノ瀬くんは何を思ったんだろう。
「じゃあ戻りますか。時間も無いので」
「はい……」
世良さんが部屋を去ってから、一ノ瀬くんは一度も俺の方を見なかった。
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