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また平日がやってくる。
出勤して一ノ瀬くんに挨拶をすると、一ノ瀬くんからも挨拶は返ってくる。だけどやっぱり、先週までよりも気の無い感じがした。
(どうして……)
その理由が分からないから、それしか言えない。
どうして?
俺の何が一ノ瀬くんをそうさせたのか。
2日経ってもその疑問は解決しなくて、結局モヤモヤとしたまま一ノ瀬くんに会ってしまった。
「…一ノ瀬くん」
恐る恐る話し掛けてみる。一ノ瀬くんは普通にこちらを向き、反応した。
「はい」
「この資料、まとめてくれますか」
ファイルを渡すと、一ノ瀬くんは事務的に返事をし、受け取った。
仕事の時は大抵こんな感じだからいつもと変わらないけど、問題は仕事外での態度だ。もしプライベートで避けられているようだったら、俺はどうすればいいんだろう。
昼食、一緒に食べないか誘ってみようかな。
▽ ▽ ▽
そして昼になったが、目の前の一ノ瀬くんは何も話さない。一応誘いには乗ってくれたが、いざ食堂で同じテーブルに座ると、一ノ瀬くんは全く喋らなかった。
前に何回か一緒に食べた時は、こんな感じでは無かったはずだ。普通に話していたし、ここまで冷たくなかった。
これは完全に避けられていると、認めざるを得ない。
ならばその理由を聞くには今がチャンスかもしれないが、聞くのが怖かった。
もし嫌いになったとか言われたら、そんなの耐えられない。だから、臆病にも聞けなかった。
いや、本人の口から聞かなくても、内心そう思っていたらどうしよう。そんなの嫌だ。
「………」
思わず箸を止めてしまう。
泣きそうになるけど、会社だし一ノ瀬くんの前だから、何とか我慢してご飯を胃の中に押し込んだ。
視線だけを一ノ瀬くんに向けるけど、一ノ瀬くんは無表情で、何を考えているのかなんてさっぱり分からない。
お願いだから、嫌いにならないで。
ただ、そう祈ってるしかなかった。
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