アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
②
-
部屋の前まで来ると、一ノ瀬くんは鍵を開けてくれて、俺は中に入った。
「お邪魔します…」
中は何も変わらない。
後から部屋に入り鍵を閉めた一ノ瀬くんは、先に奥へと進んだ。その後に俺もついて行くが、なぜかリビングは素通り。
(…寝室……?)
一度来たことがあったから分かった。
しかし、どうして寝室なのだろうか。話をするにはリビングに行くべきだと思うのだが。
一ノ瀬くんはベッドの近くまで行くと、俺の方を振り返った。
「佐伯さん」
久々に呼ばれる名前に、心臓が跳ねる。
「……っ?」
しかし、俺が声を発する前に、一ノ瀬くんが強引な力で俺の腕を引いた。そして、そのままベッドに押し倒される。
「…なに……?」
両の手首は一ノ瀬くんに押さえ付けられ、身動きが取れない。互いのカバンは、乱雑に周囲に落とされた。
突然の出来事に困惑したが、これから襲われるのかもしれないと、直感的に思ってしまった。
一ノ瀬くんがそんなことをするはずがない。それは分かっていたけれど、この後に発展することなど1つしか思い浮かばない。
(やだ……)
冗談だよね?
前に俺にキスをしようとした時みたいに、ただの見せ掛けだよね?
最後に、嘘ですって言うんでしょう?
「なに、してるんですか……」
一ノ瀬くんが、冷たく俺を見下す。
そこに笑顔などは微塵も無くて。
「…佐伯さん、俺ならこんなことしないって、安心してましたよね」
急に、何を言い出すのだろうか。
だって一ノ瀬くんは、俺の嫌がることはしないって言った。一ノ瀬くんだから、俺はそれを信じた。
だけど、それは全部、嘘だったの?
俺は、何も言い返せなかった。
「俺、佐伯さんのことが好きだって言いましたよね。佐伯さんが俺のことをどう思ってるのか知りませんけど、俺だって男なんですから」
一ノ瀬くんが、グイッと顔を寄せて来る。
「好きな人に、触れたいと思うのが普通でしょう?」
「…んっ……」
その途端、一ノ瀬くんに唇を塞がれた。
隙間から舌が侵入してきて、頭がクラクラする感覚に陥る。
抵抗しようにも、その術が無かった。
「はっ…ぁ、ん……っ」
顔を背けても、その度に何度も深くキスをされる。
一ノ瀬くんは、俺を逃がしてはくれなかった。
一ノ瀬くんが、怖い……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 331