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⑥
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「ありがとうございましたー」
店員さんの声を背にお店を出ると、また手を繋がれた。コートの中に手を入れられるけど、そんなの気休めにもならない。
「恥ずかしいです……」
「気にしなければいいんです」
そんなことが出来るならそうしてる。
だけど、これが気にならない程俺は図太い精神はしていないから。
「無理ですよ…」
▽ ▽ ▽
そうして着いた先は、ゲームセンターだった。
「ここ行きましょう」
「え、いや……」
ゲームセンターなんて、高校卒業以来一度も来ていない。それに、若者たちの中に飛び入るのは、何となく気が引けた。
「俺、26ですよ……」
四捨五入したら30。
「年齢なんて関係ありませんから。佐伯さんはまだ若いですよ」
そう言って、強引に中へ連れられた。
でも、一ノ瀬くんが楽しそうだからいいかな、なんて思う自分もいる。
「…結構音すごいですね」
「まぁ、ゲームセンターですから」
中は様々な機械から出る音や話し声などで、思ったよりも大きな音が響いている。
だが、それを気にしているのは俺だけらしく、一ノ瀬くんは更に店内へ足を進めた。
「何しますか」
クレーンゲームの機械の間を歩きながら、問い掛けてくる。しかし、数歩後ろを歩く俺を振り向き、一ノ瀬くんはふと立ち止まった。
「…佐伯さん、隣に来てください」
そう言われるが、なかなか前には行けない。
「俺と並んで、恥ずかしくないですか……?」
周りは若い子たちばかりで、一ノ瀬くんの隣に行くのには負い目を感じた。
「佐伯さんが来ないなら、店の中でも手繋ぎますよ」
「え、それは…」
ただの拷問だ。
「じゃあ…」
すると、一ノ瀬くんに手を取られそうになって、俺は慌てて一ノ瀬くんの隣に行った。
さすがに店内でまで手を繋がれたら、身が持たない。
「……これでいいですか」
俺が目も合わせず言うと、また一ノ瀬くんに笑われた。
「はい」
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