アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
デート【2】①
-
ゲームセンターで2時間程遊んだ後、しばらく歩いて大きめの図書館に着いた。
ゲームセンターでは、さっきみたいなシューティングゲームやリズムゲーばかりして、クレーンゲームはあれから一度もしなかった。
「ここで休憩しましょう」
一ノ瀬くんに続き、俺も中に入った。
図書館なんて来るの、いつ振りだろう。こうやって遊びに出掛けるのも久し振りだったから。
「広い……」
中はゲームセンターとは違い、静かで落ち着いた内装だった。ここなら、ゆっくりと休憩できそうだ。
「どこに座りますか」
入ってすぐに広いスペースがあり、そこには大きな木製のテーブルと椅子が何セットか置いてあった。
「端のテーブルがいいです」
誰も座っていなかったし、テーブルも小さめだから二人で座るにはいいかな。
「分かりました。でもその前に、本持って来ませんか」
「そうですね」
席に着く前に、俺と一ノ瀬くんは本棚の方へと向かった。一ノ瀬くんとはそこで分かれ、特に読みたい本も無かったから適当に見て歩く。
(何読もう……)
そういえば、一ノ瀬くんの家の本棚には何の本があったけ。思い出そうにも、全然思い出せないや。
それから10分くらい本棚の間を行ったり来たりを繰り返した。何を読めばいいのか分からない。
「……あ」
すると、ふと目に止まった本に指を掛けた。
(懐かし……)
表紙を見ると、やっぱりそれは、俺が学生の時に好きだった本で。結構マイナーな作家の、分厚くシリーズ化している本だが、なぜだか当時はこれが好きだった。
(…もう1回読もうかな)
とりあえず5冊あるうちの2冊を手に取り、俺はテーブルへと足を進めた。
テーブルには既に一ノ瀬くんが居て、先に本を読んでいた。俺は一ノ瀬くんの正面の椅子に腰掛ける。
「………」
何となしに一ノ瀬くんの読んでいる本の表紙を覗き込むと、俺が持って来たのと同じジャンルの、ミステリー本だった。
やけに真剣に読んでいるから、声は掛け難い。
(面白いのかな)
そう思いながら、俺は自分が持って来た本の1冊目を開いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 331