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脳みそがガンガンと揺れて痛む感覚に、俺は薄っすらと目を開いた。
「…ん……」
だが、どういう訳か視界は真っ暗で何も見えない。辺りを見渡してもみるが、映るものは一面の黒のみだ。
なんだ、これ。
(………布?)
目元に触れようと思うが、どうやら手も縛られているらしく、それが出来ない。腹部も、何かと縛られ拘束されていた。
つまり、身動きが取れない状態にある訳だ。
「…おーい?」
すると、どこからか聞こえてきた声。
俺はビクリと心臓を跳ねさせ、周りに視線を向けるが、無論その正体は見えない。
「あれー?怯えてるの?」
「っ……」
分かった。嫌でも分かってしまう。
これは、あの男の声だ。
途端に鼓動が変に速くなって、呼吸が困難になり始める。
「どうして…っ」
どうしてこんなことをするのか、と聞きたかったのだが、うまく息が吸えなくて途切れる。
思い出すのはやはり、あの時の記憶。
痛くて気持ち悪くて、泣きたくなるような、あの記憶。いや、実際に泣く程に嫌な出来事だ。
それも全て、この男が。
「お前は、何をしたいっ……?」
「分かってんだろ」
なんて質問に返される。
早く目隠しを外せと言いたいが、やたらに生意気な口を利くと何をされるか分からないから言えない。
「……何か言いたげだね?」
「…っは……」
そして、心の中を読まれたかのように目隠しを外された。
暗闇からの照明は眩しく感じるのかと思ったが、目を開いてもそんなことはなかった。
寧ろ薄暗い部屋で、だけど、壁も天井も家具も、全てが白い。俺はどうやら、その真っ白なソファに座らされているようだった。
他に、人は4人。あいつを入れて5人だ。
「……会社」
俺は小さめの声で呟く。
すると男が── 否、神代が近付いて来る。
「会社に連絡しないと、俺のこと捜されるぞ」
「へぇ…?」
さすがに部長なら1日くらいじゃ捜索願を出したりも何もしないだろうが、一ノ瀬くんなら気付いてくれるはずだ。
ここがどこかは分からないが、一ノ瀬くんなら見つけに来てくれると、根拠も無く思う。
しかし、
「…まぁ大丈夫だ。明日出勤すれば特に怪しまれない」
神代の瞳が、黒く光った。
「一緒に、楽しい時間を過ごそう」
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