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「もうこんなことするなよー」
虐めていた大学生たちを追い出すと、恐る恐る少年が立ち上がる。
それなりに大学生たちの攻撃を躱し、それから警察を呼ぶぞと脅したら、そいつ等は足早に逃げて行った訳だ。
よく素行不良の兄と喧嘩したりしてたから、一般学生の攻撃くらいは避けることが可能だった。
「……大丈夫か?」
優しく声を掛けると、その少年は弱々しく頷く。
所々顔からは血が出ていたが、少年はよく見ると結構綺麗な顔をしていた。
全く手の加えていない髪の毛はサラサラで、肌も白い。
「…あの、ありがとうございました……」
少年は小さな声で言い、頭を下げる。
そんな態度だから絡まれるのではないのか、と心配になった。
「どうしてあんなに虐められてたの?」
俺はあくまでも丁寧な話し方で問い掛ける。
少年はそっと睫毛を上げ、端的に答えた。
「……カツアゲ」
「カツアゲ?」
今時そんなものがあるのかと笑いそうになったが、それは事実なので堪える。
本当にカツアゲする人なんているのか。
「…はい。お金持ってないって言ったら、一方的に……」
「初めて、だよね?カツアゲされるのとか」
「そりゃ、初めてですけど…」
2回目です、とか答えられたら余計に面白くて、多分笑いを堪えることは出来なかっただろう。初めてで良かった。
「そっか。1人で帰れる?なんならタクシー呼んだり出来るけど…」
この後に自転車とか徒歩で帰るのは大変そうだと思った。少年は一瞬、嬉しそうな顔をしたかと思えば、またシュンと表情が萎れる。
「どうした?」
「…さっきも言いましたけど、お金持ってないんです……」
「えー。いいよ、俺が出すし。乗って行きな」
怪我までしている年下の子にお金を出させる程、俺は非情じゃない。
なんだかこの少年が弟みたいに思えてきて、俺はポンポンと頭を叩いやった。
「行こうか」
「…行く……」
少年を不思議そうに頭を押さえながら、頷いた。
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